5月になり、クールビズが始まった。ワイシャツを腕まくりすると、ミッキーの腕時計がチクタクと動いている。部下に見えるように、チラチラさせるが、何も言ってくれない。美容院に行ったのに、旦那さんが気づいてくれない奥さんになった気分だ。

かまって欲しくて、部下の服装につっこみを入れることにした。「クールビズが始まったのに、スリーピースは、おかしいんじゃない。」、「そうですね。」とつれない返事が返ってくる。倦怠期の夫婦になった気分だ。

部下は、自分より2歳年上だが、茶髪の超イケメンで、女性陣によると、どうみても自分の方が年上に見えるとのことである。悔しいが、部下の細身の身体にスリーピースがよく似合い、ネクタイもどういう風に結べばそんな風になるのか不思議なくらいふわっとした感じでお洒落だ。

毎年、部下はハワイに旅行に行くが、奥さんと二人で、スーツケースが6個になるらしい。自分は、持っている私服を全てスーツケースに入れても2つにしかならないだろう。

かまって欲しくて、「どんな時計をしているの。」と聞くと、「安いやつですよ。」と言ったので、部下の時計をのぞき込むとHermesだった。

「ロレックスの方が人気あるんじゃない。」と聞くと、「そうなんです。ロレックスは、古くてもアンティークの価値がでるので、値下がりせずに資産価値があるんですよ。僕も、一つ持っていますけど、買ったときより2倍くらい高く売れますよ。」とのことである。

ミッキーさんの腕時計は、今月号のOtonaミューズ1280円の付録である。水曜日に、ジョギングをしながら、Otonaミューズを探し、4店目のローソンでようやく見つけた。5kmの道のりをOtonaミューズを小脇に抱え走ったのは、ミッキー好きではなく、懐事情のせいである。

車検から車が返ってきたが、バンパーの修理に13万円がかかった。セルフ店のかけうどん換算で580杯分の大ダメージである。シュークリームで取り戻そうとすると、1300個我慢しなければいけない。

一年ほど前に、時計が止まり、電池を入れ替えても、いつのまにか、止まるようになった。時計が無くても困らなかったが、若者はさまになっても、おっさんが腕時計をしていないと中途半端になってしまう。半袖姿になる前に買おうと思っていた時計の購入で節約することにした。

しかし、どうして上司の方がみすぼらしいのであろうか。部下の旅行先がハワイで上司は八丈島である。部下の趣味はカフェ巡りだが、上司の八丈島の夕飯はスーパーの惣菜だったし、今週のお昼ご飯は、インスタントラーメンや素麺ばかりだ。

セーラーマーキュリーのTシャツもフィギュアも最近買ってないし、無駄遣いで思い浮かぶのは、シュークリームしかない。この連休中の目標は、自分でシュークリームを作れるようになることにしよう。シュークリームを5千個作るとロレックスを買えるはずだ。