Nicotto Town



のぞいちゃイヤ!



 ノーベル物理学賞・化学賞のメダルの片面には二人の女性が描かれている。一人はベールをかぶった女神のナツーラ(自然)、もう一人はスキエンチア(科学)だそうだ。横からベールをめくってナツーラの顔をのぞいているのを「一種の自然への冒涜」だと言ったのは朝永振一郎氏だ。

 

 

 現代科学の論理的思考の基礎を作ったガリレイはシェークスピアと同じ年(1564)に生まれ1642年に亡くなった。そして彼が死んだ年に古典力学を完成させ、近代資本主義の技術革新と産業社会システムの構築に大きな貢献をしたニュートンが生まれた。

 

 ゲーテはニュートンの時代を批判して、「科学者は実験という人為的な方法で自然を傷め、自然を破壊している、そうして得られたものは決して本来の自然ではなく、したがってそのやり方では人間を幸福には導かないだろう!」と。


 ゲーテの科学批判はあの「ファウスト」にも出てくる。


 ファウスト博士は王様から海岸の不毛の土地を貰い、悪魔メフィストフェレスの力を借りて土地開発を始める。湿地を埋め立て掘割りを作り港を開いて理想的な国を作ろうとする。ところがその土地に昔から住んでいた信心深い老夫婦が、ファウスト博士が最も良い条件を出しても立ち退かない。

とうとうメフィストフェレスは邪魔になるこの老夫婦を殺してしまう。・・・・

 

 ファウスト博士は良心の呵責を感じて悪魔の力から独立したいと考えるようになる・・・

 

 ゲーテは自然を人為的に変える実験や開発というものの中にメフィスト(悪魔)的な要素があることに気付いていた。 しかし、世界は実験によって自然を人為的に変形・破壊する実験科学の方法、つまりニュートンの方向に沿って突き進んでいくのである。







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