589番: 星(4)
- カテゴリ:日記
- 2020/09/20 18:24:00
【7】
Enfin, sur les trois heures, le ciel étant lavé,* la montagne luisante* d'eau et de soleil, j'entendis parmi l'égouttement des
feuilles et le débordement des ruisseaux gonflés les sonnailles
de la mule, aussi gaies, aussi alertes qu'un grand carillon de
cloches un jour de Pâques.*
訳
そしてとうとう、午後の3時頃、空の雨雲は洗い流され
山は水と太陽で輝き、葉から落ちる水滴の音と増水した
小川の溢れる音との中にラバの鈴の音が聞こえたのです。
まるで復活祭のときのような鐘の音のように陽気で溌剌
とした響きでした。
《語句と解説》
*le ciel étant lavé: 動詞は~ant という形なので、現在分詞
なのですが、この動詞の主語が主節の主語「je」とは別に
「le ciel 」で作られています。 このような動詞句は分詞
構文の独立用法、もしくは「絶対分詞構文」と呼ばれてい
ます。そしてこの用法は頻繁に用いられますので慣れる必
要がありそうです。(日常言葉でも頻出する表現です)
*la montagne luisante:これも絶対分詞構文です。 この主語は
la montagneでluisant がその主語に性数一致する珍
しい形をとっています。「luisante」。
こちらの対訳書の解説によりますと、
「古い語法では稀に一致させた」
と書かれています。(「ドーデ短編選集」第三書房)
概ね、19世紀の文学作品にみられるようです。
【8】
Mais ce n'était pas le petit miarro, ni la vieille Norade qui
la conduisait. C'était ...devinez qui ! ...notre demoiselle,
mes enfants ! notre demoiselle en personne, assise droite
entre les sacs d'osier, toute rose de l'air des montagnes
et du rafraîchissement de l'orage.
訳
しかし、ラバを馭してきたのは、ミアロでも、ノラドおばさん
でもありませんでした。それは・・・当ててごらんなさい!
何と、お嬢さんだったのです! お嬢様自ら、山の空気と雷雨の
あとのすがすがしさで、すっかり顔を紅潮させて、柳行李の間に、
まっすぐ座っていたのです。
《語句》
conduisait < conduire (馬を)馭する、(車を)運転する
(家畜を)追う
mes enfants 子供という意味ではなく、読者への呼びかけ
「親愛なる読者諸君よ!」ほどの呼びかけ
osier(m)柳、柳の細枝 panier d'osier 柳の枝で編んだ籠
toute (notre demoiselle と同格) すっかり、全身で √tout
sacs d'osier 「柳の袋」が直訳ですが、sac には、かばん、の意味も
ありますので、ここは「柳の籠」、「柳行李」などを思
えばいいかと思います。