あるフレさんの 短編小説w
- カテゴリ:日記
- 2020/11/02 00:52:40
上空3000mの奇跡
「きゃー」という声がした。
その後、客室乗務員が大きな声をあげた。
「どなたか・・・!どなたか!この中にお医者様はいらっしゃいませんか!?」
シーン・・・と静まり返る機内。
おれは、機内を見渡したが、誰も立ち上がろうとはしなかった。
そして、ついつい、立ち上がってしまったのだ・・・。
「もしかして、お医者様ですか?」
おれは、はい とも言えず、質問で返した。
「どなたか、急病ですか?」
「そうなんです!先生!突然、乗客の男性が倒れられたのです!」
「そうですか・・・。診てみましょう・・・。」
乗客の女性のひとりが、つぶやいた。
「すごい!奇跡だわ。こんなところに医者がいるなんて、きっと、あのひとを助けてくれるのよ」
その言葉を聞いて、ゾクゾクした。こんな言葉を聞きたかったんだ。この女性の言葉が、おれの心を後押しした。
おれの名は”エンジ”。席を立ちあがったが、実は医者ではない。医大を受験したが、受からず、浪人して、そのまま医者の道をあきらめた、ただの男だ。
ひとの命を救うような医者になりたかった。心に穴が空いたおれは、それを埋めるためにアメリカへの便に乗ったのだ。医者がいないこの状況が、おれの心に火を灯し、立ち上がってしまったのだ。
倒れた男は、通路で 横になっていた。
俺は医者ではないから、できない理由を探すために、男の胸を触診しながら乗務員に言った。
「ダメですね・・・。彼の症状をみると、気胸だけではなく、狭心症もわずらっているようです。麻酔師も、看護師もいないで、処置できるものではありません」
女性乗務員がまた大きな声をあげた。
「どなたか、麻酔師さんはいらっしゃいますか!?」
すると、ゆっくりと、ひとりの女性が立ち上がった。
い・・・いたのか!!おれは、心の中で叫んでしまった。これは、まずい・・・。
「看護師もいないのでは、できません!!」
「どなたか、看護師の方はいらっしゃいませんか!?」
すると、またひとりの女性が手をあげて席を立った
いるのかよ!!
どうして、飛行機の中に、麻酔師と看護師がいるんだよ!どうにか、処置できない理由をつくらねば!麻酔師の女性の顔をみた
「う・・・。あの・・・あなたは、狭心症の手術は、何回したことありますか?」
「ワタシ・・・にぽん で、1回だけ、したことアルね・・・」
一回か!一回なら、誤魔化すこともできるかもしれない・・・おれは、少しほっとした。そして、看護師だという女性の方を向いて、質問した。
「あなたは、何回、狭心症のサポートをしたことがありますか?」
「わたしは、30回は、入りました」
30回か!明らかに、俺なんかよりも、知識がある!彼女に変わってもらったほうが、いいぐらいだ・・・。だが・・・いまさら・・・言い出すことなど・・・
エンジは、どうしようかと、隣にいる麻酔師の顔をみた。
医者だという男性がこちらをみて、動揺してしまった。
ワタシの名前は、メイ・リンあるよ。実は、ワタシは、麻酔師ではない・・・アルね・・・。ワタシは、中国の写真家をしているから、近くでみたくて、立ちあがったら、麻酔師だと勘違いされたアルよ・・・。でも・・・いまさら、違いましたなんて言えないアル・・・。医者がいるから、ダイジョブあるよね?
メイ・リンは、どうしようかと、隣にいる看護師の顔をみた。
麻酔師だという中国人女性が、こちらをみて、動揺してしまった。
わたしの名前は、マイコ。実は、わたしは、看護師ではない・・・。売れない地下アイドルのセンターをやっている・・・。もともと、女優志望で事務所にはいったのに、なぜか、アイドルをやらされることになった・・・。わたしの夢は、ドクターZに出演することだった・・・。狭心症が、何なのか分からないけど、凄腕ドクターのドラマを見すぎていたのか、30回と答えてしまった・・・。いつか!医療ドラマに出演したい・・・そんな気持ちが、看護師を探す声に反応して、立ち上がってしまったのだ・・・。いまさら、違いましたとは言えない・・・。お医者さんも、麻酔師さんもいるんだから、大丈夫でしょ・・・?
エンジは、医者らしいところをみせようと、倒れた男性の隣にいた顔色の悪い女性に言った。
「奥さん。彼は、何度か、倒れたことがあるんですか?」
「は・・・はい・・。2・3度・・・倒れたことが・・・」
医者に声をかけられ、動揺してしまった。
わたしは、4-ちゃんと、みんなから呼ばれている。実は、わたしは、倒れた男性の妻ではない・・・。飛行機に乗ると、幸せそうな新婚夫婦をみて、わたしも結婚して幸せですよ?とみせたいとばかりに、隣に座っていた男性の妻のように振舞っていただけだ。その彼が突然、倒れ、医者から声をかけられて、ついつい、答えてしまった・・・。いまさら、違うとは言えない・・・。
エンジは、女性乗務員に言った。
「彼は持病持ちだ。ひとがいても、医療道具が無ければ、処置などできない。医療キットなどないのですか?」
医者だという男性の言葉に、動揺してしまった。
わたしの名は、エミリー。実は、わたしは、客室乗務員ではない・・・。乗務員として、もぐりこんだ。ハイジャック犯だ。意思の弱いわたしは、3か月前、街を歩いていたら、何か知らないセミナーの勧誘に言われるがまま、参加したら、そのまま、あれやこれやと、ハイジャック犯の一味になってしまった。医療キットなど、どこにあるのかなんて、知るはずもない・・・。
「医療キットですか・・・・」
すると、ひとりの男の子が、大きな声をあげた。
「あれ!医療キットじゃないの??」
その言葉を聞いた乗客が、ボックスを確認して、医者へとまわした。
「坊や。よくみつけたね。君のおかげで、彼も助かるよ」
僕の名前はヤマト。男は、僕を「坊や」と言ったが、ぼくは、こどもではない・・・。小人病という奇病に生まれつきかかった大人なのだ。僕は、大人なんだと言いたいが、いまさら、言ったところで、意味がない。
看護師のマイコが言った。
「先生!メスがキットの中に入っていました!」
エンジは、焦った。くッ・・・メスまで、あるとは、運がない・・・。まわりをみると、ここで助けなければ、医者ではないかのように、ジロジロみてくる。ここで、手術をするしかないのか・・・。
「わかりました・・・。やってみましょう・・・」
麻酔師メイ・リン
え!!やるアルか!まずいアルよ!
看護師マイコ
本当に!??どうしょう!
すべての人間が、倒れた男に注目した。
男は、倒れたまま、汗をかいていた。おれは、実は、病人ではない・・・。俺は、女性乗務員のお尻をみて、ついつい、手を伸ばしてしまった・・・。すると、彼女が乗務員らしからぬ悲鳴をあげたのだ。「きゃー!」
おれは、このままでは、まずいと思い、誤魔化すために、床に倒れこんだのだ。
それで、少し時間が経ったら、すぐに席に戻るつもりだったのに、この機内に、医者がいたんだ・・・。
しかも、なぜか、この医者・・・おれが病人だと断言しはじめた・・・。なんなんだ、この医者!おれは、本当にそんな病気だったのか?
それもそうだが、隣に座っていた女も、なぜおれの妻のふりをしてるんだ!?しかも、2・3回発作を起こしたとか言い出すし・・・。一体、お前ら、誰なんだよ!
だからといって、いまさら、おれは、病人じゃないとは言えない・・・。そんなこといえば、捕まってしまうからだ。
8時間後
————デトロイトに無事到着しました。
「手術も成功です!」
なるほどね 神の目線ね
面白かったよ~(=^・^=)
それを アレンジして書いたみたいよ
気に入ってもらえたなら 嬉しいって言ってたよ~♪