牡牛座流星群
- カテゴリ:自作小説
- 2020/11/03 18:28:20
仕事帰りに買ったコンビニの海苔弁当を急いで食べた。白身魚のフライと竹輪の天ぷら、それと金平ごぼうの組み合わせが絶妙だ。海苔の下のおかかだけでもご飯が食べられる。海苔弁当を発明した「ほっかほか亭」に感謝だ。
弁当柄をゴミ箱に入れて、シャワーを浴びた。ジーンズに長袖のTシャツ、フリース生地のトレーナーの上にジャンパーを羽織り、防寒体制もばっちり。リュックを背負い、天体望望遠鏡を抱えて、車に乗り込んだ。
サービスエリアで珈琲を買って、中央道を西に向かう。今夜は新月の快晴。天体観察日和で、おうし座流星群の極大も近い。
https://www.youtube.com/watch?v=9IvGfqVLpa8
天体観察を初めてから一年になる。金曜日の夜が寂しかった。若い頃は、同僚達と飲みに行っていたが、同僚たちは結婚するとマイホームに帰って行った。それでも30代の頃は、若い奴を連れて街に出ていたが、40歳を超えると、自分が浮いた存在になることが多くなってきた。
30代までは、どうして結婚しないんですかと聞かれることが多かったが、40代になると触れてはいけない話題のように気を使われてしまう。若い奴らの恋バナにもついていけない。
金曜の夜になると、飲みに誘ってくれる後輩もいたが、断る口実に天体観測に行くようになった。
恋人が欲しくないわけじゃない。ずっと欲しいと思っている。ハンサムじゃないけど、そんなに変ではないと思う。勤めている会社も時々CMを流していて、知らない人は少ないと思う。だけど、恋人いない歴40年だ。
雑誌を読んでいたら、モテないのはフェロモンが足りないからと書かれていたので、通販で錠剤を買った。30粒で3万円もしたけど、近づいてきたのは、蚊とゴキブリだった。
高速を降りて、曲がりくねった山道を登っていく。脇道の林道に入り少し進んだところに開けた場所がある。山々に囲まれ、見渡す限り灯りはない。山の影が邪魔になり地平線に近い空は見えないが、その分、見上げると満点の星空を眺めることができる。
トランクにしまっていたアウトドア用のリクライニングチェアを出す。天体望遠鏡を使うのは短い時間で、リクライニングチェアに寝ながら、ぼーっと星空を眺めている時間の方が長い。流星群は、どこを流れるのか分からないので、望遠鏡は使わない方がいい。
北の空を見上げるとM字型のカシオペヤ座が見えた。ケフェゥス王と王妃カシオペヤの娘アンドロメダはとても美しかった。ある日、カシオペヤは、「私の娘、アンドロメダより美しい者はいない」と言った。それを聞いたポセイドンがうぬぼれるなと怒って、アンドロメダは生贄として海岸の岩に縛られてしまった。そして、カシオペヤは罰として、北極星の周りを一日一度回らされることになった。
流れ星が空を横切っていく。恋人が出来ますようにと願おうと思ったが、「こ」で流れ星が消えてしまう。遠くから砂利道を進む車の音が聞こえてきた。一年前に、ここで凶悪な殺人犯に出会ったので緊張してきた(一年前の日記参照)。
徐々に、ジャリジャリと舗装されていない道を進む音が近づいてきて、軽自動車が広場に入るとライトで照らされた。エンジンが止まり、軽自動車から人が降りてきた。自分がいるところから遠くに停めていて、暗くて、よく見えないが、一人みたいだ。
静寂に、トランクを開けたり、ドアを閉めたりする音が響く。テーブルに置いていたオペラグラスで、覗いてみると女性だった。三脚を立てカメラを設置しようとしていた。凶悪な殺人犯でなかったので一安心だ。
こちらも怪しい人間じゃないと分かってもらうように、天体望遠鏡を覗き込んだ。大熊座の二重星アルコルとミザールに焦点を当てた。大熊座のしっぽが北斗七星だ。
アルカディア王の娘カリスト―は、アルテミスの従者として処女を誓っていた。しかし、ゼウスによって手籠めにされてしまう。カリスト―が身ごもったことを知ったアルテミスは激怒し、アルテミスを放逐する。
カリスト―はアルカスを産むが、そのことをゼウスの妻、ヘーラーに知られてしまう。嫉妬したヘーラーは、美貌のカリスト―を毛むくじゃらの熊に変えてしまう。森をさまよっていたカリスト―は、狩人に成長したアルカスに遭遇する。
息子に近づこうとするカリスト―を、気付かずにアルカスは射殺そうとする。慌てたゼウスが二人を石に変えて天に昇らせた。それが大熊座とこぐま座。天に昇らせたことを怒ったヘーラーは、未来永劫、休むことが出来ないように沈まぬ星座として北極星の周りを巡らせた。
星を見るのも飽きたので、キャンプ用のバーナーでお湯を沸かして、珈琲を落とした。カップが一つしかないので、それは彼女用にして、自分は車の中のサービスエリアで買った珈琲の空き容器で飲むことにした。
ランタンと珈琲を持って彼女に近づいて行った。撮影の邪魔にならないように、少し離れた場所から、「珈琲どうですか。」と声をかけた。彼女が近づいてきて珈琲を「ありがとうございます。」と言って受け取った。
そのまま、振り向いて元の場所に戻ったが、推定年齢30歳から40歳。暗くて、よく見えなかったが、ボーイッシュで可愛いかった。リクライニングチェアーに座り、星を見たら、途端に輝き始めたような気がした。
しばらくすると彼女が近づいてきた。
「ごちそうさまでした。」
「キャンプ用のカップで少なかったですよね。お代わりありますよ。」
「ありがとうございます。いただきます。」
「椅子、出しましょうか?」
彼女は、慣れてますからと言って、地面にそのまま座った。僕も、地面に腰を下ろした。
「星を見るのが好きなのですか?」
「アニメばっかり見ていて、目が悪くなってきたので、星を見たら少しは良くなるかなと思って、夜空を見始めたんです。」
「へぇー、どんなアニメを見ていられるんですか?」
「だいたい、美少女戦隊ものです。」
「へぇー、星空って素敵ですよね。あれは、オリオン座の”すばる”ですね。今届いた光は、443年前に輝いた光なんですよね。」
「日本だと戦国時代の天正年間ですね。先週の麒麟がくるで、駒ちゃんは足利義昭と寝たんですかね。ちょっと、もやもやしているんです。」
「大河ドラマ見ていなくて、ごめんなさい。ここから見る星空も綺麗ですけど、私、宇宙から地球を見たらすごく美しいと思うんです。真っ暗な中に輝く青と白の宝石みたいじゃないですか。」
https://www.youtube.com/watch?v=XBPjVzSoepo
「僕、宇宙人が地球を見たら地獄みたいに感じると思うんですよ。酸素なんてフッ素に次いで電気陰性度が高くて何でも酸化させてしまうんですよ。毒ガスみたいなもんです。植物なんて毒をばらまくウルトラマンで言ったらケムラーみたいな怪獣です。宇宙人が、あんぱんだったら、海に飛び込んだら顔が溶けますよ。恐怖ですよね。」
彼女は、ご馳走さまと言って、戻って行った。ガタガタという音が聞こえ、彼女は車に乗ると帰っていった。僕は、星空を見ながら考えた。最高のシチュエーションで、彼女の名前を聞くことすらできなかった。
何が悪かったのだろう。彼女は珈琲のブラックが苦手だったのだろうか。紅茶にすればよかった。それか、厚着していたからフェロモンが足りなかったのかもしれない。通販でフェロモンを買うことにしよう。
そんなことはないでしょう。
自分の性格から、いい旦那さんには、なれそうもありません。一日中、アニメを見ているでしょう。
無神経なのは間違いないです。理想はスナフキン。風に吹かれるまま、何にも縛られず、吹き飛ばされるます。
主人公のレベルと違いすぎたんだね。
無神経なところがあるんだね。
今夜は、速攻で眠ります。
電車の中で眠って倉庫に閉じ込められないでね。
心のなかは、少年のおっさんです。
休みながら仕事しなきゃだよ。
もう、お爺ちゃんです。今日は、パソコンを見続けていたので、目がショボショボしてます。明日は、腰が痛くなると思います。
いつまでも、一人かもだね。
おじいさまになるかも、だよ。
健全な人がいいんだね。
頑丈でも、身体に気をつけてね。
理想の女性は、月に変わって悪を打つ正義の味方です。年中、セーラー服姿で、必殺技を持っていて欲しいです。自分のこと以外のことをするのは、トラブルの元ですが、民間では、自分の事しかしない人は偉くなれないです。
環謝さん
ITに強い息子さんの知恵を借りて、ハッキングして沖人になりすまして校正をしてくれればいいのだ。ついでに、もう一話書いてくれるととても助かります。
でもでも、皆さんに公開する前にしないと意味がないけど_(:3」z)_wwwww
沖人さんと結婚したい人は、いっぱいいそうだけれど、興味がない部類では、ないんだね。
理想が高いの?
沖人さんは不思議さんだね。
寅さんのような小説を書くのが好きなんだね。
笑ってはいけないけど、笑えるね。
私は父のすすめで、県庁で臨時をしていた時期があるんだけど、私たちは自分のことしかしません。みたいな人がいっぱいいたよ。
独身で、ずっといて、結婚する気は全くない人たちがひしめいていたよ。
ロズウェルと聞くと、Xファイルが思い浮かびます。星の恋人たちを見ていませんが、青春ドラマはいいですね。アメリカのドラマは、恋愛・友情・SFと内容が盛りだくさんですね。
宇宙人高校生のTVドラマ・・・また設定が、宇宙人高校生のドラマやらないかなぁ~~~♪
某結婚相談所のアンケート結果では、40代、50代の男性で、一度も結婚したことがない人の内、恋愛未経験の人の割合は、14.9%であった。国立社会保障・人口問題研究所の統計データで、一度も結婚したことがない男性を調べてみると、3,929,149人(2015年)であった。すなわち、彼女いない歴40年以上の男性、全国585,443人が、傷ついたであろう。しかーし、恋愛未経験男性の90%が婚活をするつもりがないらしい。主な理由は、気楽でいいとのことであった。そのグループには属していないが、女心が分からないのと、銀座をジャージで闊歩したり、気楽でいいというのは同じである。
また、やっちまった。勢いで書いて、推敲をせずにアップしているから、間違いが多いのだ。再度、校正担当を命じます。
スズランさん
彼は正直に思ったことを語る誠実な男なのです。男の鏡、サムライと言ってもいいでしょう。なのに、討ち死にばかりで可哀想。五輪書や葉隠より、ホットドッグプレスを読むべきでした。
あずさちゃん
確かに、麒麟がくるでも朝倉義景の嫡男が一服盛られていたからね。珈琲でなくて、お腹が減ったでしょと、うどんを茹でた方が、予想外の展開で平常心を失わせることに成功したかもしれない。しかし、コールマンのバーナーで鍋の湯を沸かすのは、朝が来るかもしれない。
さぬどんと星を観に行って、珈琲淹れてくれたんだったら大喜びでいただくけども、
知らない人にカップで出されたら何入ってるかわからないから怖くて飲めません
今でもほっかほか亭、かまど屋が健在で嬉しいです。
天体観測で折角女性が声をかけてきたので、どうなるか楽しみにしてましたが、
あれでは、逃げられるのは当然ですね(((uдu*)ゥンゥン
ロマンチックな会話は場所によっては必須ですよ笑。だが小説はそれが良い( ,,>З<)ブフ`;:゙
ちな、アルテミスが激怒してアルテミスを放逐てなってますです…_(:3」z)_
ゴキブリには集合ホルモンと分散ホルモンがあるらしい。彼は、集合ホルモンが足りないのかもしれない。ローチのゴキブリホイホイに使われているみたいだから、プレゼントしとく。
いつものパターンと言ってはいけません。彼は、真剣そのもです。しかし、それがいけないと思われます。是非、度量の広い友達を紹介してあげてください。
るるもさん
トム・クルーズの宇宙戦争ですね。機械でできたタコみたいなものが現われ、植物の大きな種のようなのが出てきて、新型コロナで侵略者が撤退したような記憶が残っています。
宇宙戦争のエンディングを思い出しました。
あれは悲しい結末でした。
でも安心感のある笑いで面白かったです!
宇宙人にとっての地球を想像するのも、ある意味ロマンチックですよね。
方向性が若干斜め上ですが、この楽しさをわかってくれる女性と
巡り合えればしめたものです!
どこが悪かったのか。やっぱり、フェロモンでしょうか。思い付きで書いているので、続きを書くのは難しいのだ。
マオさん
そうですね。徐々に明るくなる夜明けの空が、一番きれいだから、帰ってきますよね。きっと。
多分……
多分、その星座は、便座だと思います。
wineさん
えー、真っ暗な星降る中で二人きりは、最高のシチュエーションじゃないでしょうか。
知人の長男が50歳手前で結婚して50歳で父親になった人がおります。お相手の女性は10歳年下だそうです。知人は孫に会えてよかったと言ってましたね。
最高のシチュエーションと思っているのは僕ちゃんだけだと思う。
次のURLも見ました。結婚式で流れそうなBGM。この曲も好き。りりぃ&るるぅも聴いています♪ 地球は綺麗ですね。気軽に宇宙の旅へ行ける日が生きているうちに来たらいいなぁと思いました。
蚊とゴキブリが近づいてくる錠剤の中に、玉葱の成分でも入ってたのかな?って気にりました。
読まなくて大丈夫です。探す時間がもったいないですし、見つかっても、読んだら損すると思います。星座の本を読む方が、ずっとためになるでしょう。
寧々こさん
ちょっと検索してみたら、女性を虜にするフェロモン香水とかたくさん売られていた。おそらく、こういうものに頼る男はモテないと思います。
フェロモンはいいですが、おかしな輸入のサプリメントは飲んではいけませんよ(^-^)
疑問。
星に詳しいんだね!
勉強になりました!
また、ゆっくり読み直します。
ネットに疎いから、どうやって一年前の日記を読むのか、方法がわからないよ。