Nicotto Town



「初恋②」のつづき


「転校」 


そして僕たちはお別れの日まで 毎日一緒下校した。 
友達たちは冷やかしもせずに二人を暖かく見守ってくれた。
出会った時から思い出話やどれだけ好きなのか 
転校しても 絶対好きのままでいる。 
彼女が生まれてから今までのことと 
僕が生まれてから今までのことを全部話した。 
お互いこれからの夢の話をした。 
泣き虫な彼女だったが 彼女は泣かなかったずっと笑顔でいた。 
「離れ離れになって泣き顔を思い出されるより 
笑顔を思い出して欲しかったから 」 
彼女はそう言って 泣くのを我慢していた。
最後の日には必ずキスをしようと約束をした。

僕が中学1年生の2学期の転校先の学校で、 
出会った初恋の相手が、中学2年の1学期の終業式に広島に転校することを 
一か月前に彼女から聞いてから、お互い努めて明るく振る舞ってきた。 

終業式の当日 彼女を囲んで数名の友達が、泣いていた。 
僕の姿を見つけた友達たちは、僕と彼女の間に、道を作るように分かれた。 
正面に立っている彼女は涙をふいて 
「一緒に帰ろう」 と笑顔で言った。 
手を繋いでできるだけ明るくいつものように彼女の家まで歩いた。 
今までキスもしたことがなかった僕たちは、 
今日はキスをする約束をしていた。 
「カーコ まだ信じられないけど とうとうこの日がやってきたね」 
「笑顔をずっと覚えていて欲しくて 泣かないと 言ってたけど 本当に泣かなかったね」 
「僕には、恋とか愛とかはよくわからないけど」 
「カーコのことが大好きだ」 
「これだけははっきり言える」 
「僕たちは、離れ離れになるけど 気持ちは 離れない」 
僕は、カーコを抱きしめて耳元で言った。 
「ありがとう 私を幸せにしてくれて」 
「人を好きになることを教えてくれて ありがとう」 
「私も大好きだよ」 
「離れ離れになってもずっと大好きだよ」 
「私が寂しくならないようにいっぱい手紙を書いて」 
「私も海くんが寂しくないようにいっぱい手紙を書くから」

お互い照れながらキスをして僕は、もう一度彼女を抱きしめた。 
一気に感情がこみ上げて二人で泣いた。 
文通をすること もし好きな人ができたら必ず報告すること 
この二つを約束して 僕は、重い足取りで自分の家まで帰った。 

「ピンポーン 」家のチャイムが鳴った 。 
出てみると彼女の親友が、 
「カーコが制服の第二ボタンを欲しいて言ってるよ」 
「自分で渡すよ」 と家を出て 二人でカーコの家まで行った。 
引っ越しを手伝うと言ったんだけど 
「海くんがいれば私ずっと泣いちゃうから」彼女からそういわれたから 
僕は家に帰ってきた。 もう一度彼女と会うきっかけを作ってくれたんだ。 
大方引っ越しが終わっていた。
彼女のお母さんが、 僕のところに来て言った。 
「海くんで初めまして 愛子がいつもお世話になっています」 
「今回の引っ越しで悲しい思いさせてごめんね」 
「引っ越ししても 仲良くしてあげてね」 
「愛子は海くんのことが大好きだから」 
少し離れたところで彼女は笑っていた。 
僕は照れながら「はい」とだけ返事をした。 
彼女は数名の友達と写真を撮っていた。 
友達が気を使ってくれて 二人のツーショット写真を何枚か撮ってくれた。 
最期に握手をして 引っ越しのトラックを見送った。 

彼女は引越し当初、「寂しい寂しい」と、手紙に書いていた。 
だんだん向こうの学校にも慣れ友達のことや 
学校行事のことを 手紙に書いていた。 
向こうの学校でもバレー部に入って頑張っていた。 
僕も必ず 手紙の返事を書いた。 
スヌーピーの封筒と便箋の手紙の最後には必ず「会いたい」 と書いてあった。 




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