スピーカーの遠達性
- カテゴリ:音楽
- 2020/12/15 13:24:33
ヤマハのNS-10MMで一日中ジャズ流していて思いついた邪説です。
遠達性というのはオーディオとPA(SR)界の一部で使われる用語でして、
音の抜けと表現する人もいるし、直進性という人もいるようです。
NS-10MMを二階の自室で鳴らしたまま下に降り、戻るときに気づきました。
階段途中で響いてくる音のバランスが、他のスピーカーよりも調和がとれてる。
別のに替え、また下まで降りて戻ってくるのを数回繰り返した。やはり違う。
物理的な音のエネルギーは低周波ほど大きいから、遠くまで響きます。
大音響でカーステ鳴らす車に交差点で遭遇したときの音、あれで分かりますよね。
自作フルレンジ鳴らしてたとき階段上がると、中低域が最初に聴こえてきます。
ところがNS-10MM、自室を出たところで聴いてもバランスがわりとまとも。
ハイが強いとか、ドンシャリという意味ではありません。遠くでも聴ける。
実はこのスピーカー、ニアフィールドだと少し耳が疲れて気になってたんです。
ギターアンプの話に暫しお付き合いください。凄く関係あるんです。
ギターアンプのスピーカーやエンクロージャーもメーカーの色が強くて、
密閉型、後面開放型、バスレフ構造等ありますが、どれも特徴的です。
代表的なマーシャルアンプのキャビはセレッション4発で密閉型です。
このアンプの特徴は物凄い直進性。とにかく音が真正面に、弾丸の如く飛びます。
100人規模のライブハウスでは、マーシャルの軸とPAブースをずらすほど。
そうしないと音が直撃します。私もマーシャル使うときは斜め45度に立つ。
一方、フェンダー社のツインリバーブは自社製スピーカー2発の後面開放型。
これは真正面に立っても大丈夫。でも高音成分はマーシャルより遠くまで響く。
こんなことを思い出し、ヤマハの音響機材に関する姿勢を考えてみました。
遠くで聴いても(いや、むしろそのほうが)気持ちよく響く機材なのかな?
NS-10MMはホームシアターのサラウンド用に設計された。もしや!?
個人的にこれが正解だと思ってます。ニアよりもサラウンド重視のスピーカー。
他のパッシブスピーカーはビクターとオンキョーのフルレンジでして、
この二台は近くで聴いてても疲れない。まさにニアフィールド用小口径ユニット。
うーむ面白い。ロト6当たって(買ってないけど)ジャズ喫茶を開くなら、
やはりベストポジションで最高の音を聴かせるシステムを準備して、
別の席でもそれなりのバランスで響く環境を作ろうとするだろうけど……
店外に漏れる音のバランスなんて誰が気にするだろう。でも、おそらく。
ヤマハの狙う遠達性能ってソコにもありそう。他の機材でも心当たりあるし。
畏るべしヤマハ、技術的蓄積だけでなく『音場』を考える技術者が多いんだなぁ。
ライブハウスへの地下階段降りてくとき、リハの音がドスゴン聴こえますよね。
重い扉開けると音の塊に殴られる。あれにも店の『音場』の個性が表れます。
ひょっとするとヤマハ、そこまでお見通しなのかもと考え、嬉しくなりました。