うどんとなめこ
- カテゴリ:自作小説
- 2021/01/01 02:28:12
いったいこのままいつまで 一人でいるつもりなのだろう
だんだん自分を恨んだり 誰かを羨んだり・・・
バックヤードの警備室から、あいみょんの「裸の心」が流れてくる。普段はテレビを見ない警備員も、お茶を飲みながら紅白を見ている。
一人ぼっちの大晦日がこんなに寂しいものだとは思わなかった。いや、世界で自分一人しかいなかったら、心はもっと穏やかだろう。他の人達は幸せだと感じるから、自分がみじめに思えてくる。
今日も、お店は賑わっていた。お客さん達は、隣に置かれている袋に入った茹で蕎麦を次々と買っていった。夕方には蕎麦は売り切れ、お客さんは、しぶしぶ緑のたぬき買って帰った。自分も、一度、お客さんの手に取られたが、うどんじゃ年越しにならわねと言われ、棚に戻された。
今頃、蕎麦のやつらは、美味しいわね~と言われながら、食べてもらっているんだろう。それに比べて売れ残った俺は、きっと廃棄処分だ。高円寺でなくて、高松の生協だったら、こんなつらい思いをしなかったのに。東京になんて、出てくるんじゃなかった。田舎に帰りて~と独り言をつぶやき続けていた。
「おい、うどん、うるせえぞ。これから、石川さゆりが歌うんだから静かにしろよ。」
図体のでかい三食セットの焼きそばに怒鳴られた。お前だって、俺と一緒で、年末年始は買ってもらえない存在だ。昨日まで、蕎麦のやつら、いい気になりやがってと、お前も言ってたじゃないか。
「うどんさん、元気を出してね。明日になったら、年越しうどんに買いに来るお客さんもいるかもしれないわよ。」
天然のなめこが、棚の上から声をかけてきた。やはり天然だ。お客さんは、やってこない。生協は、元日、2日と休みだ。
「優しいこと言ったって、なめこは、蕎麦の味方だろ。」
「そんなことないわよ。ワイルドな蕎麦さんも素敵だけど、色白のうどんさんも知的だと思うわ。」
「昨日の日記を読んでないのか。知的よりワイルドの方がずっと人気があるんだ。しかも君は、蕎麦と山菜蕎麦でコラボしているじゃないか。ほんとは天蕎麦やたぬき蕎麦を食べたいのに、格好をつけて季節でもない山菜蕎麦を食べる客がどれほどいることか。」
「だって、うどんには、山菜うどんがないんだもの。私のせいじゃないわ。」
「どうせ、うどんなんて、そんな扱いだ。こっちの人間なんて、丸亀製麺とどん兵衛と赤いきつねしか食べたことがないんだ。スーパーの茹でうどんなんて、誰も相手にしてくれない。」
「そうだわ。きつねと言ったらうどんじゃない。きつね蕎麦って聞かないもん。」
「いなり寿司の余り物を、たまたまうどんに乗せたら美味しかっただけさ。そんなのいばれたもんじゃないや。」
「うどんさん、どうしてそんなにすれてしまったの。四国から出てきたときは、讃岐うどんを東京に広めるんだと、夢を持っていたじゃない。」
「無理だと分かったんだよ。こっちには白醤油を売ってないんだ。白醤油じゃないと黄金色のだし汁を作れない。今日なんて、welciaに行ったら薄口醤油すらなかった。蕎麦の真っ黒なだし汁で、満足しちまっているんだ。」
「デパ地下なら、あるんじゃないかしら。今度、私が一緒に行ってあげるわ。」
「ふん。神田やぶそばで、一番安いせいろう蕎麦が750円。かけうどんは、香川全うどん屋平均で258円だ。うどんにとってデパ地下は、入りたくても入れない銀座の寿司やみてえなもんだ。俺らには、せいぜいスシローか元気寿司がなんだよ。」
「どうしたら、昔のうどんさんに戻ってくれるの。私、今のうどんさんは嫌いだわ。」
優しさを求めているのに、素直に受け入れることができない。自信を失ったプライドを守るために、どんどんいやなうどんになっていく。美味しいうどんになりたいのに。
あの頃 僕達はさなんでもできる気がした
ふたりで海に行ってはたくさん写真撮ったね
でもみてよ今の僕を クズになった僕を
人を傷つけてまた泣かせても 何も感じ取れなくてさ
別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ
「なめこさん。俺と一緒に海に行ってくれないか。初日の出を見たいんだ。」
「いいわよ。」
僕たちは、夜の高速を九十九里に向かった。軽トラの荷台。寒さに身を寄せ合い星空を見ながら語り明かした。サラブライトマンの出番があれだけでいいのとか、ブライアンメイを出すなら紅の方がいいんじゃないか、コロナでディズニーを貸し切りにできたのかな。一番、よかったねとか。
九十九里に着いた。道路下のボックスカルバートを抜けて砂浜に座った。夜風が冷たい。薄っぺらなビニール袋に包まれているだけだ。寒さに耐えられない。都合よく、鍋にお湯が沸いている。条件反射で飛び込んでしまった。
あちちちち。急いで、飛び出し、海に飛び込んだ。冷めてー。なめこの所に戻り隣に座ると、震えが止まらなくなった。大丈夫と言いながら、なめこがタオルで拭いてくれた。
「なにか変だわ。タオルでこすっていると、どんどん固くなっていくの。」
「どうしようもないんだ。茹でて水で〆ると、固くなっちゃうんだ。コシって言うんだよ。」
漆黒の空が淡くなり星が見えなくなっていく。水平線がオレンジ色に染まり、太陽が顔を出した途端に、光の矢が四方に飛び散った。なめこの肩に腕をまわし抱き寄せた。
いつかおじいちゃんみたいに無口な強さで
いつかおばあちゃんみたいに可愛い笑顔で
あなたとなら生きてゆける そんなふたりになろうよ
いつかあなたの笑顔によく似た男の子と
いつかわたしとおなじ泣き虫な女の子と
どんなことも越えてゆける
家族になろうよ
あなたとなら生きてゆける
しあわせになろうよ
なめこの唇がどこにあるのか分からなかったが、口づけをした。
「あせっちゃだめ。なまはだめよ。洗って下茹でを1分してから、大根おろしと和えると美味しくなるのよ。」
僕たちは、外房線から総武線に乗り換え高円寺の生協に戻った。いつもは早起きの豆腐も、まだ眠っていた。起こさないように、そっと棚に戻った。すると警備員が朝の見回りにやってきた。
「あれ、このうどん、袋開いているな。」
警備員は、僕を掴むと、じろじろ見まわしたり、臭いを嗅いだりしていた。
「洗ったら大丈夫そうださな。朝飯は、年明けうどんにするか。」
僕は、なめこにさようならと手を振った。
それは、面倒見のいい学級委員長ですね。生協の理事も引き受けさせられたのでしょう。
みんな面倒で「私が幹事役アチコチで引き受ける人」だからでしょう・・・きっと!
そういえば「面倒だからLINEしない」なぁ~んて、忙しい人も二人(家族とはLINEしてるけど)
普通は開催地の人が幹事でしょう。例外として考えられることは、mさんが面倒見がいいか、若しくは、同窓生の中のボスなのでしょう。
娘「いや!遠い人に、日程を合わしてもらうので」→私が幹事で正解だって(-.-)
いつも京都ホテルです。
甘い夢から、直感的にスイーツに走ってしまった。
ろくさん
蕎麦キャラ ↓
https://www.yurugp.jp/jp/vote/detail.php?id=00001286
うどんキャラ ↓
https://www.yurugp.jp/jp/vote/detail.php?id=00000438
いい勝負だ。
あ、さようならと手を振られてた(-_-;)
シュークリームの夢をみます。
スパコーイナイ・ノーチィ
早起きしているから、今夜は、早く寝ましょう。とっても寒いみたいなので、毛布を忘れずに。
今夜からイメージして寝れます(^<^)
富山の晴れの得意日は、4月6日です。晴れる確率が2/3。4月6日まで、桜が咲いているかどうか微妙ですが、いざとなれば北アルプスの方に向かえば大丈夫でしょう。
https://www.jma-net.go.jp/tokyo/sub_index/kansoku_data/tenki/607.html
あずさちゃん
なめこに腕があるかどうかということが大問題なのですが、うどんにとってもなめこにとってもファーストキス。1のうどんの胸に当てているのが妥当でしょう。
1.うどんの胸に当てている
2.うどんの背中に回している
3.うどんの首からぶら下がっている
のどれでしたか?
1か月ほど前に予定した日が晴れてたら良いけど・・・
ホテルの広々とした円卓・・・どうかな?
叱られるのが分かっていて、蕎麦を食べてはいけません。うどんを食べてから蕎麦です。今年の蕎麦の出来はいかがでしょうか。幌加内蕎麦を食べたいです。
明日の昼ごはんはうどんにします。
花見を兼ねて同窓会です。お弁当を持って、換気のいい屋外。デリバリーでお弁当にすれば完璧です。お酒は、まだ、自粛中かもしれないので、麦茶だと言い張りましょう。カラオケはだめです。コロナと関係なしに、気持ちいいのは本人だけなので禁止です。
春にしようかなぁ~(^^♪
関西はうどん文化圏の中心ですので、年越しにカレーうどんは正しい姿です。大阪は、きつねうどんとカスうどんが美味しい印象です。しかし、難波の地下街では、ごぼう天うどんらばかり食べていました。徳正は、森ノ宮の名店なのですね。香川には、五右衛門ていうカレーうどんの名店があるので、是非、食べ比べてください。
大阪だからという訳ではないと思いますが、実家は元々たまにしかしないので、
今回は要冷蔵食品の「徳正のカレーうどん」にしました。
美味しかったです。
正月はお鍋にするので、饂飩も一応買いますよ。
この歌は心に沁みますよね・・・
うどん君(っω`)
スペイン風邪は、第3波でおさまっているので、今年の春には、もう大丈夫です。仏の顔も三度までという言葉のとおり、お釈迦さまが、新型コロナにええ加減にせえよと、懲らしめてくれるのでしょう。夏になれば、新型コロナ改Ver2が流行するので、やはり春です。
なんて、居心地のよさそうなアパートでしょう。独身者が多いと、麻雀友達もできるでしょう。大家さんは、お雑煮を差し入れしてくれるし、一刻館のようです。半蔵だと生まれの伊賀か江戸時代の桑名に縁があるのでしょうか。勝家だと、越前より生まれの三河に縁があるのでしょう。どっちにしても強そうです。
今日の日記コメありがとうございます
そういえば鉄砲祭りが寄居のほうでやってます。北条とは関係ないようですがそうかあ~そこまで考えてなかったですね!全部調べきれないからそれもあるかも
秩父蕎麦というより」秩父が好きなんですって~
私のほうは服部半蔵と柴田勝家って聞いたことありますよ
家族になろうよって歌良い歌ですね=
ここのアパートは独身ばかりです,ばつ1だったり若いのに結婚頑望無かったり
でも年齢行ってから出合う方もいますからいつかきっと沖人さんにも・・・
三越のパン屋は、ジョアンだった。三越が漢字に変換されなくておかしいなと思ったら、ずっと「みつごし」と入力をしていた。家で食べるなら、インスタントの方が好きかもしれない。キャベツか白菜、それと卵を入れて煮込みラーメンです。
三越のパン屋さんは、ドンクのイメージがあるけど、高松店は春風堂なのだろうか。生協は、のんびり営業をしているのでしょう。生協から30mくらいの距離に品ぞろえの豊富なスーパーがあるけど、品数少ないのに生協で買っている人達がいるのが不思議。自分も30m歩くのが面倒で、生協で買ってます。
mさん
mさんが、やるぞーと言えばいいのです。そうしたら、コロナの中でやるのという意識高い系の人が現われるでしょう。いちできるようになるか分からないからコロナ対策をして集まりたい人だけで集まろうねーと言えば、終わりのない議論ができます。
いつ会うかわからないけど「そばアレルギーの彼女」に伝えます。
・・・しかし新型コロナウイルスのせいで去年(今年6月に)延期された「同窓会」・・・あるかなぁ~?
村上春樹の「海辺のカフカ」の他にも、讃岐うどんが出てくる小説があるのですね。香川の小学生は、遍路杖をつきながら登校しています。中学で自転車通学になると、ヘルメットの代わりに遍路傘を被って登校します。持ち歩くのは、生徒手帳でなくて御朱印帖です。是非、おいでください。
wineは午前中は、三越へいってきました。商店街はそんなに人はいなかったけど、三越の中は、多かったです。地下の食料品は歩きにくかったです。パンだけ買ってさっさと帰りました。
新刊の小説の一節に、四国でうどんを食べる場面が出てきました。
「なんか違う食べ物みたいですね」
「この国の物流はよほど発達したというが、どうしても運べないものがあるらしい」
と、、毒舌の学者も認めた美味しさって表現。。
やっぱり、地元でしか味わえない旨さなのでしょうね!
蕎麦派の私ですが、隠居したら是非とも行ってみたいなぁと思いました♪
ちなみに…お遍路の笠に書かれている『同行二人』の意味を始めて知り、胸に染みました。
素敵な本です(´ー`)
マルナカは親切じゃの。近所の生協は1日、2日が休みで、31日は、野菜が売り切れ状態だった。お節をつくってくれて、小学生は感謝しているでしょう。お年玉をもらって、もっと感謝しているでしょう。風呂掃除をしてもらいましょう。
のんびり風呂に入り過ぎ、夕飯の準備が遅れてしまい、紅白の最初を見逃したのが心残りです。それより、心残りなのは、ゆくとしくる年のあとの、今夜も生でさだまさしを見逃したことです。妹によると、さだまさしが遅刻して、前代未聞のメイン不在で、スタッフが右往左往姿が放送され続けたとのことです。
まさか!Σ(゚Д゚)「うどん」が主役とは・・・
ビックリな今年1本目でしたねw(✿☉。☉)
作者も大みそかは「紅白歌合戦」を楽しまれたようで何よりでした^^
今年もいろんなジャンルの作品を楽しみにしています^^
本年も宜しくお願い致します。
自分も書きながら、たいやき君が頭に浮かびました。どん兵衛は強い味方です。しかし、実家から送られてきたのは、ローカルな金ちゃんのきつねうどんでした。
wineさん
お節は、3が日では食べきれないものだと思っていましたが、小学生がパクパク食べているのですね。自分が小学生の時は、ジジババくさいお節が嫌で、目玉焼きを焼いてもらっていました。
たまちゃん
なめこは、菌界-担子菌門-真正担子菌綱-ハラタケ目-モエギタケ科。えのきだけは、菌界-担子菌門-ハラタケ綱-ハラタケ目-タマバリタケ科。物理専攻で生物は選択していなかったので、どうして、「網」レベルで違うのに「目」レベルで一致するのか分からないが、少なくとも親戚関係にはあるみたい。
mさん
蕎麦アレルギーの人は、香川に移住すべきです。お店で売っているうどん屋は、蕎麦を置いていないので、うどん100%。安心してうどんを食べることが出来ます。お勧めください。
友人からの年賀状に「息子が3月にやっと結婚・・・」←沖人さんは~~~?~~~そんな話無いかぁ残念
「そばアレルギー」で食べられない人には「うどん」大人気なんじゃあ?
でも「アレルギー」がひどい人は同じ部屋(ライン)でそば作ってる「うどん」もダメかな
同じ釜で茹でた「うどん」もダメ・・・実は大きな声ではとても言えませんが→「うっとうしい!」
まさかうどん本人の話だったとは(爆笑)
うちのお味噌汁には、豆腐となめこがよく入ってます。
でもそれ以外には見たことないな・・・母はなめこの使い方を他に知らないのかも。
なので私も知りません ( ゚Д゚)
お台場のダイバーシティに入ってる北海道のお店で、
スティックタイプのなめ茸を買ったことがあります↓
https://www.kinoko-oukoku.com/cargo/goodsprev.cgi?gno=300
なめ茸はエノキですよね。私は普段エノキとしか言いませんが。
あれ、話がそれまくった。
沖人さん、兼業作家と言う道もあるのではないですか?
「およげ!たいやきくん」を彷彿とさせる展開には
思わず涙してしまいました。
うどんくん、廃棄処分にならなくてラッキーでしたね。
結婚29年目ともなると、正月には昼食も作ってもらえなくなります。
御節も無いのに・・・と、グレそうになるのを堪えながら
「唐辛子の赤を添えて年明けうどんだいっ」と負け惜しみをぶつぶつ言いながら
どん兵衛をすする元旦の昼下がりでした。
大晦日に、ラーメンを準備するのは、ワイン亭だけです。普通は、3日くらいに、お節も食べ飽きて、お茶漬けかラーメンを食べたいな~となるのです。うどん君は、警備員さんに食べられてしまったから、続きは難しい
。
実家に帰らなかったのは、久しぶりです。しかし、一人でのんびりするのも乙なものですが、食べ過ぎになります。
アリスさん
紅白を見ながら途中で寝てしまうのは、小学生か酔っぱらったお父さんくらいだと思います。是非、ゆく年くる年までたどりついてください。
寧々こさん
紅白バージョンでしたが、オリジナルとの違いが判りませんでした。福山雅治の美しさに見とれてしまいました。
るるもさん
年始らしくハッピーエンドにしようかと思いましたが、なめこうどんになるくらいしか浮かばなかったのです。結局食べられるなら、うどんだけ犠牲にしました。
リンゴさん
警備員さんが、食いしん坊だったら、なめこを入れて、ネギも切って、かまぼこものせたでしょう。警備員さんは、素うどんが好きなのだったと思います。
ラストはちょっぴり切ない;;
一緒に山菜きのこうどんになれたらよかったね、警備員さん頼みます('_')♪
今度はハッピーエンドでお願いします。
最初は沖人さんの話かと思いました^^
家族の形は様々。色々なのだ。
紅白を見て寂しさが和らいだかな?
紅組が勝利したのだね。
途中で眠ったよ。
一人で過ごす人は今年は結構いたかもね。
今年もよろしくお願いいたします。
大晦日に実家に帰らなかったのは初めてだったのかなぁ? 寂しかったのぉ? (i_i)\(^_^)なでなで。素直に なぁ~れ♪
初日の出は、住んでいる場所によって違うけど、6時30分~7時すぎ頃みたいだね~♪