どっちも
- カテゴリ：自作小説
- 2021/03/07 19:25:34
学生時代は体育会に入り、毎日トレーニングをしていたので、引き締まっていたが、卒業して5年間、怠惰な生活を過ごしていると、腹周りがコーラの瓶からファンタグレープのようになってきた。
その上、テレワークが増えて、歩くことが少なくなり、食事は家でコンビニ弁当が多くなった。このままだと、ビア樽になりそうなので、ジョギングをするようになった。
川沿いの公園を走っていると、桜のつぼみは、まだ小さく固いが、梅の花が咲いている。散歩の足をとめて、スマホで写真を撮る人も多い。去年は、遊具に使用禁止のテープが貼られていたが、今は、子供たちが元気に駆けまわっていた。緊急事態宣言が出ているのは去年と同じだが、賑やかになり明るさが戻った。
マスク代わりにしていた手ぬぐいが緩んできたので、走るスピードを落として結び直してたら、「竹井さんじゃないですか？」と声をかけられた。ベンチの方を見ると、顔は覚えているが名前を憶えだせない。
「上の階の杉咲です。顔が隠れていたので、自信がなかったですけど、手ぬぐいを外したときに、竹井さんだと分かりました。」
名前を思い出せなかったのでなく、はじめて彼女の名前を聞いた。彼女と話すのは、一年ぶりだった。
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丁度、一年くらい前のことだ。テレワークをしていたら、上の階から、ドンドンと低い振動が伝わってくる。リズミカルな床を踏み鳴らすような振動だ。上の階にSiaが住んでいるような感じだ。
https://www.youtube.com/watch?v=2vjPBrBU-TM
明日までに仕上げないといけない資料を作らないといけないが、天中からの音が気になり集中できない。気にしないようにしようと思えば思うほど、気になる。パソコンを閉じて、上の階に向かった。ドアの表札には、名前が書かれていなかった。チャイムを鳴らしたが応答がない。もう一度、チャイムを押した。しばらく、待っているとドアが開いた。
「下の階の竹井ですが、音が気になったので、どうしたのかと思って。」
「すいません。パンを捏ねてて、タオルをひいて、気を付けていたんですが、すいません。今週、卒業試験で、パンの製作があって、練習していました。ごめんなさい。もうやめます。」
「いえ、それなら、止めなくていいです。近くの喫茶店に出かけるようにしますから、パン作りを続けてください。」
彼女が出てくるまでは、音が止まなかったら、管理会社に連絡すると伝えるつもりだったが、ほっぺたに小麦粉をつけた彼女を見た途端に、そんな気はなくなってしまった。それより、やな奴だと思われたんじゃないかなと思った。
Wi-Fiの使えるコーヒーショップで資料を作り終えて、部屋に戻った。夕飯に、コンビニ弁当を食べていたら、チャイムがなった。ドアを開けると紙袋を持った彼女が立っていた。
「今日は、すいませんでした。良かったら、今日作ったパンを食べてください。」
「かえって、すいませんでした。卒業試験頑張ってください。」
紙袋いっぱいに、クロワッサンとバターロール、それとちぎりパンが入っていた。それから、彼女とは、アパートですれ違うこともなかった。
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「よろしかったら、お茶をいかがですか？」そういうと、彼女は、紙コップを取り出すと、水筒からお茶を注いだ。
「遠慮なく、いただきます。」というと、彼女と同じベンチに座った。
「同じアパートに住んでいるのに、全然、会わないですね。」
「専門学校を卒業して、パン屋に勤めているんですが、朝4時に出勤なので、夜も早く寝ないといけなくて、漁師のような生活なんです。」
「てっきり、引っ越したのかと思ってました。あの時は、パン、ありがとうございました。美味しかったですよ。どこのお店ですか。今度、買いに行きます。」
「モモヤってお店です。朝、7時30分オープンで17時には閉まるし、土日はお休みなので、出勤前にいらしてください。」
「本当に、朝が早いんですね。確か、フランスパンも、法律で夜10時から朝4時まではパンを作るのが禁止になって、直ぐに焼けるように細長くなったんですよね。」
「竹井さん、パンに詳しいですね。朝7時まで、禁止にしてくれていたら、よかったのに。竹井さん、どんなパンがお好きですか？」
「プレッチェルが好きです。噛めば噛むほど美味しくなるところがいいですね。杉咲さんは、どんなパンが好きですか？」
「バケットです。焼き上がった時の香りが、他のパンとは違うんです。バターも砂糖もミルクも使っていないので、小麦の焼けた香ばしい匂いをそのまま感じることができるんです。」
「小麦と塩と水だけですか。うどんと一緒ですね。」
「うどんとは違うと思います。うどんは、香りませんよね？」
「イリコと鰹節でとった出汁から、イノシン酸の美味しい匂いが漂います。」
「パンは、シンプルなバケットからデニッシュまで、主食からスイーツまでバラエティーが豊富ですが、うどんは、スイーツにはならないんじゃないですか？」
「スイーツと呼べるかどうかは別にして、香川県民にとって、小腹が減ったときはうどんです。喫茶店でうどんを出すところもあります。それより、パンが主食ということが気になりますね。」
「どういうことですか？」
「米は主食ですが、パンはおかずとほとんど変わらないんじゃないでしょうか。米は微量ですが必須アミノ酸の種類が多いので、米を大量に食べて、一汁一菜というのが米食の基本ですが、小麦は必須アミノ酸が少ないので、大量に食べても意味がない。肉や乳製品と一緒に食べるのがパン食だと思うんです。だから、日本人は、フランス料理やイタリアンに行くと、パンが少ないとお代わりをしちゃうんじゃないでしょうか。」
「竹井さん。お米との話じゃないです。うどんの話をしているんです。パンは、毎朝、食卓にのぼりますが、毎日、うどんを食べる人はいませんよね？」
「いえ、香川のサラリーマンは、毎日、お昼はうどんです。なぜ、香川県民がうどんを食べているかというと小麦の生産に適しているからです。」
「小麦の話しなら、教えてください。」
「小麦は、雨に弱いのです。小麦発祥のメソポタミアも乾燥しています。ヨーロッパも雨が少ないので、小麦の栽培に適しています。日本で雨が少ないのは、瀬戸内海沿岸です。香川は日本のヨーロッパと言っても過言ではありません。香川県民は瀬戸内海を地中海やエーゲ海だと思っています。」
「いえ、香川県民はどうでもいいのです。竹井さんは、パンとうどん、どっちが好きなんですか？」
「･････」
ここで、うどんと答えてしまえば、彼女との会話は終わってしまう。それは、分かっている。マキアベリの言葉、「結果さえ良ければ、手段は常に正当化される」、「好機というものは、すぐさま捕まえないと、逃げ去ってしまうものである」、嘘も方便という知恵もある。
「どっちも･･･」と言いかけたが、人には譲れないものが一つはあるものである。「うどん」と言って、大きな後悔を胸に、再び、荻窪に向かって走り始めた。
ぷよぷよしたら、真ん中の穴が塞がってしまって、ベーグルのチャーミングポイントが失われてしまうのだ。タイムキーパーが欠かせないのです。
ベーグルは、何度も作っているので任せなさい。欠点は、1分くらいの茹で時間でいいのに、もたもたして、ぶよぶよと膨張してしまうことです。タイムキーパーをあずさちゃんに任せた。
風花さん
あれだけ踊っていたら歌えないと思うのですが、どの曲もおどりまくりです。ぜひ、ベージュのレオタードで、旦那さんを驚かせてください。バク転の時は、お気を付けください。
ｍさん
皿うどんは堅焼そばですから、ラーメンの仲間でいいと思います。学生時代に、皿うどんがどんなものか分からないまま、大阪王将で頼んで、がっかりした記憶があります。今では、たまにはいいなと思って、皿うどんセットを買っています。
私はラーメンに近い気がするけど
焼うどんと皿うどんはまったく違いますねぇ
SIAってYouTubeの人だったんですね～
一瞬全裸だと思ってビックリしました＾＾；
ベーグルのモチモチ感は、他のパンではだせませんが、焼くとふっくら柔らかくなりますね。ハムとチーズを挟んで、マヨネーズトッピングで焼いたベーグルサンドがお気に入りです。
ベネッセは直島かと思ったら、大内にも進出していたのですね。景色とともに美味しいものもあった方がいいと思うけど、あの辺りにはブドウ餅しかないと思う。
東かがわのベネッセおおち（？）だっけ？朝のニュースに出てました。
瀬戸内の景色が良いらしいです。
うどんは、100%炭水化物なので、栄養バランスから行ったら、ハンバーガーよりジャンクフードです。ここは、ネギとワカメでビタミンとミネラルを補給し、ちくわ天でたんぱく質の補給です。あっ、とり天も人気らしいです。
うどん愛は本物、さすがです。
うどんが主食の場合、栄養バランスは何で摂取します？
野菜や鶏の天ぷらかしら＾＾
うどんと女性のどっちが美味しいか、どっちが三食食べ続けることができるかを考えたら、うどんしかないでしょう。しかも焼うどんにもなります。
最後「うどん」と答えるんですか！！残念！！
オーストラリアには、ASWといううどんのために生まれてきたような小麦があるのです。香川のうどん屋は、ほぼ１００％この小麦粉を使っていましたが、国産で対抗しようと香川農業試験所が産み出したのが讃岐の夢2000です。香川県民は、嘘でも、毎日、うどんを食べよると言わないといけません。
毎日お昼にうどんは食べてないと思うけどなあ。
で勃発 キタ―—―—―――！！
うどん愛、こればっかりは譲れませんよね～(((ｕдｕ*)ｩﾝｩﾝ
正しい読み方です。話は、どうでもいいのです。この怪しいダンスを見て欲しいというのが、テーマです。
ちぎりパンも立派になりましたね＾＾
SiaのYoutubeを見入ってしまい
武井さんと杉咲さんの事を忘れる所でした＾＾；
身体の柔らかさが大事ですね。お酢を飲んで、チャレンジしてください。
アリスさん
美味しいうどんを打つためには、小麦の勉強をしないといけません。しかし、うんちくを知っても、生協の一番安い小麦粉を使っています。
たまちゃん
そうなんです。パスタの芯は余熱で火を通すのが大事なのですが、うどんは直ぐに水で〆るので、芯が残っていたら美味しくありません。火が通った瞬間を見分ける野生の感が大事です。スワニーの手袋が有名です。
「周りに流されない、芯がしっかりした魅力的な人」と彼女の目に映るかもしれません。
そういえば今朝、香川は手袋生産のシェアが高いとテレビで知りました。
うどんだけじゃなかったんですね。
楽しく読んだよ。
出会いがあればいろんな展開があるのだね。
小麦の話とか、勉強になるよ。
ありがとう。
香川愛だね。
プレッチェルを見ると、３つの穴があるので目が２つと笑顔の口に見えてしまいますｗ
うどんは大好きなので、1週間に1回は食べてます～♪