Nicotto Town


安寿の仮初めブログ


『夢十夜』、安寿の場合



仕事の夢を時々見る。


夢の中の私は、
仕事を進める上で、
何かしらのトラブルに見舞われている。

曰く、自分のセミナー会場が見つからない。
パソコンが立ちあがらない。
スクリーンに画像が映らない。

何とかしようと、自分の会場を探し回り、
パソコンを再起動してみるのだが、
何一つ思うようにならない。
そうこうしている内に、
時間はどんどん過ぎ去っていく。

そこへ私の上司に当たる人が現れて、
「お前にとって、私は卵の殻だ。
 お前こそ、卵の中身なんだ」
という主旨のことを宣う。

この組織でお前のことを守ってやっているのは、この俺だ、
だから、守られている立場だということをよくわきまえて、
しっかりと仕事をしろ、
と叱責したいのか。

それとも、
上司と言えども、俺たちは組織の外形を形作っているだけで、
この組織の売り物である、事業の中身を作っているのは君たちなんだ、
と謙遜しているのか。

どちらにしても、
何か腑に落ちなかったので、
私は次のように言い返した。

「いいえ、私の方こそ卵の殻です。
 私の中身は、あなたを含め、
 多くの方からの借り物で出来ています。」

そこで目が覚めた。


夢の中でも、
納得がいかないと反論しようとする私がいる。
しかも、相手の急所を突き、
一本を取ろうとする私がいる。

同時に、
私には中身と言えるものがないこと、
すべては他人からの借り物であり、
それらをやりくりしながら糊口を凌いでいることを
夢の中の私は分かっている。

夢の中の私は、
私のことを私以上によく知っている…。




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