【２５】
da war die ganze Luft umher so mit Wohlgeruch
erfüllt, daß Heidi davon überzeugt war, noch nie
etwas Lieblicheres eingeatmet zu haben. Sie setzte
sich in die Blumen hinein und sog den Duft in
vollen Zügen ein.


            ——訳——     
周囲の空気はあまりいい芳香に満ち溢れていた
のでハイジは、未だ嘗てこんな好ましい香りを
吸ったことがないという確信を持ちました．
ハイジは花の中に座り込み、思いっきり香りを
吸い込みました.


             《語句》    
umher  辺り一面に、ぐるりと取り巻いて
der Wohlgeruch {E式} 芳香、香気     
erfüllt  ＜ erfüllen (他) (４格、要求などを)
　　　　 満たす、叶える、果たす   
überzeugt (過去分詞、形容詞)  確信した
　　　 ＜ überzeugen (他、４格を) 納得させる   
sich überzeugen (再)　von + ３格　
　　　（３格について）納得する、確信する
noch nie いまだ嘗て～ない
Lieblicheres 　さらに好ましいもの、これほど素敵なもの
　　　≪ 比較級の名詞化（中性名詞)≫
　　　　＜lieblich (形)
　　① 愛らしい、かわいい
    ② 香りのよい、(音、声が) 響きのやわらかい　
eingeatmet (過去分詞) ＜ ein/atmen (他) (空気などを)
　　　　　　　　　吸い込む       
setzte　＜setzen (再) 座る、座らせる
　　sich⁴ setzen + 方向
    sich⁴ auf die Bank setzen / ベンチに座る
  * 「座っている」という状態をいうときは
　　sitzen を使います．
hinein  (外から向こうの)中へ
  尚、本文は hinein/setzen
 花の中に座り込んだ、と言っています.
sog．．．ein  
saugen (自) (掃除機が) ほこりを吸う
  ３変化：  saugen sog gesogen
ein/saugen (他)(４格を) 吸い込む
der Duft｛変音E式｝香り
Zügen (複３格)＜der Zug｛変音E式｝　① 列車
                        ②　吸うこと
  ここでは②の意味
念のため、Zug を展開しておきます
der Zug
des Zuges
dem Zug
den Zug
die Züge
der Züge
den Zügen
die Züge


　　　　　【解説】
da war die ganze Luft umher so mit Wohlgeruch
erfüllt, daß Heidi davon überzeugt war, noch nie
etwas Lieblicheres eingeatmet zu haben.  

「そこにはたいそう素敵な芳香の空気が
　ただよっていたので」
ここまでがso が受け持つ相関構造の「～ので」
そして次のdaß 以下が相関構造の帰結部で
｛だから～なのだ」
　だからハイジはこんな素晴らしい芳香を嗅い
だことはないという確信をもった．

この帰結部でetwas Lieblicheres比較級
「さらに素敵なもの」は  noch nie
「これまで～ない」という否定を受けて
「これほど素晴らしい芳香を嗅いだことはない」
という意味になります．
尚、eingeatmet zu haben　という完了不定詞
はdavon の内容．
Heidi davon überzeugt war　ハイジはdavon の確信
を持ったのだよ．それは完了不定詞の
eingeatmet zu haben　吸ったこと
吸ったことの確信を持ったのだよ．

そしてnoch nieが参加して
これまで吸ったことはないという確信を持った
のだよ．

そして何を吸ったことがないかというと、
etwas Lieblicheres　こんなに素敵なもの

こんな素敵な芳香を吸ったことはないぞ、と
いう確信を持ったのです.　誰が？ハイジが！