955番:スガンさんの山羊(18)
- カテゴリ:日記
- 2021/04/04 23:15:59
【18】
——Pécaïre !*¹ Pauvre Renaude !...Ça ne fait rien*², mon-
sieur Seguin, laissez-moi aller dans la montagne.
——Bonté divine !...*³ dit M. Seguin ; mais qu'est-ce qu'on
leur*⁴ fait donc à mes chèvrës ? Encore une *⁵ que le loup va
me manger ...Eh bien, non ...je te sauverai malgré toi ..
——訳——
——まあ、お可哀そうに!お気の毒なルノードさん!
でもスガンの旦那様、構いませんわ.山の中に行かせて
下さいな.
——やれやれ!...とスガンさんは言いました.それにして
も、私の山羊たちは、いったいどうなっているんだろう?
またもや、狼が私の山羊を1匹食べることになるなんて...
よし、そうはさせないぞ.あんたには不本意乍ら、私は
救ってあげよう.
《語句》
sauverai (単純未来) < sauver (他) 救う、助ける
*¹ Pécaïre ! [発音ペカイール] 南フランスで用いられる
言葉で、同情を表す間投詞「まあ、可哀想に」
*² Ça ne fait rien 一向に構いません
*³ Bonté divine ! (プロヴァンス語) Bounta de Dieu !
を訳した間投詞.「やれやれ、情けないことだ」
*⁴ qu'est-ce qu'on leur fait donc:直訳すると
(一体、人は彼女たちに何をしようというのか).この
後にくる à mes chèvrës は leur を補足して明確にした
もの.
*⁵ une : une chèvre Encore une que le loup va
me manger. このencore は、「また」という意味.
述語動詞がなく、une (chèvre) が単独(que以下の
修飾文はありますが)でポツンと一軒家になってい
ます.ここは、il y a とかvoila を補ってみると、わ
かりやすいでしょう.
Il y a encore une chèvre que le loup va me manger.
またもや狼が私から食べようとする一匹の山羊が
いる.
尚、「私を食べる」のではなく「私の羊を食べる」
となります.
狼が食べるのは、関係代名詞の先行詞、une chèvre
です.食べるのは狼、食べられる側は「私」そして
「山羊」.「私」は所有する山羊が食べられることに
なります.この場合の「私」me は 間接目的補語
ですが、文法的には奪格 と呼ばれるもので、「~から」
ここでは「私から」と訳します.