さくらんぼ
- カテゴリ:自作小説
- 2021/04/25 18:52:22
サクランボは、果樹のなかで一番最初に実る。苺の時期が終わり、サクランボの出荷が始まると、春が終わり初夏が到来する。サクランボは公式には「桜桃」といい、生産者もそう呼ぶ。お菓子作りが好きな人は、「おうとう」と聞くと黄桃の缶詰を思い浮かべるが、文学好きには太宰治が頭に浮かぶ。
太宰の命日は、「桜桃忌」と呼ばれ、多くの太宰ファンが三鷹にある禅林寺を訪れる。太宰の遺作になった「桜桃」にちなんでいる。桜桃の中で、太宰は、主人公に自分の姿を重ねた。
ダメ亭主の主人公は、ぐずる子供、世話を焼く妻が面倒くさくなり、家を出て酒場に向かう。酒場でサクランボが出される。子供たちは、サクランボを見たことがないだろう、持って帰ったら喜ぶだろうと思いながら、不味そうな顔をしながら全部食べる。そして、「子供より親が大事」と吐き捨てて小説は終わる。
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母が作った山形の郷土料理「うどと凍み大根のどんころ煮」を食べていたら、テレビから、山梨でハウス栽培のサクランボが初出荷されたとニュースが流れた。
「300gで1万5千円だって。お父さん、うちもハウス栽培、始めるって言ってたけど、どうするの?」
「今年の収穫が終わったら、ハウス栽培の準備を始めようと思っとる。正夫が大学出て、一人前になるころには収穫できるようになんべ。」
「俺、サクランボ農家になるって、まだ、決めてないよ。」
「正夫、来週、三者面談でしょ。大学、どこを受けるか決めたの?」
「考え中」
「サクランボ農家になるのに、東京の大学に行っても仕方がないべ。今の時代、サラリーマンになっても、どうなるか分からん。地に足つけた仕事の方がいいべさ。」
「だから、サクランボ農家になるって、決めてないって。」
この10年でサラリーマンの所得は3%しか増えていないが、主業農家の所得は6割増加した。サラリーマンの所得を追い抜き、今では、サラリーマン所得の1.5倍になった。
正夫は、父にはサクランボ農家を継ぐか決めていないと言っているが、将来、サクランボ農家になろと思っていた。純白の花が咲き誇るサクランボ畑やルビーのように真っ赤になり実をつけたさくらんぼを見るのが好きだった。それに、父と母が、将来、正夫が跡を継いだときのために、老いたサクランボの樹々を毎年、植え替えていることを知っていた。
サクランボは、自家受粉しにくいため、蜂を育てたり、一花一花人工授粉をさせなければならず、花が咲くととても手間がかかる。正夫は、大学に通いながら、手伝いができるように、山形の大学の農学部を受験するつもりだった。
高校3年になると進路指導を受けた。すると担任から、正夫の成績だと東京の大学を受験した方がいいんじゃいかと言われた。それまで、東京に行くことは考えていなかったが、迷い始めた。迷い始めたのは、付き合っている恵理が東京の女子大を受験したいと言っていたからだ。
夕飯を食べ終わると、父が正夫にスナックに行こうと誘った。母が何しに行くのと言ったがが、父は、「俺に任せておけ。コロナで9時までしかやってないから、もう行くから。」と言うと、正夫を連れて家を出た。
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スナックの扉を開くと、橋本マナミに似たママが、「いらっしゃい、正夫君も一緒なのね。」と迎えてくれた。正夫は、スナックに何度か来たことがあるが、いつもなかなか帰ってこない父を、母に連れて帰ってきてと頼まれた時だった。
カウンターに座ると、マナミ似のママが「どうして正夫君と一緒に来たの?」と聞いた。父は、「この辺で、東京に住んだことあんのママしかいねえべ。正夫に東京のこと教えてもらおうと思ったんだ。」と言った。
ママは、小皿にサクランボを載せて、カウンターに置いた。
「このサクランボ、どうしたっぺさ。」
「ハウス栽培のサクランボ。鈴木さんが、差し入れしてくれたの。一粒300円だって。雨にあたってないから、色艶がいいわね。」
「ママ、サクランボも人も、見てくれじぇね。マーチン・ルーサーキング牧師は、私には夢がある。自分の子供たちが、いつか肌の色ではなく、人物の中身で判断される国に住むようになることって言ったっぺさ。人種のことだけじゃね。生まれ持った美貌や才能、知性、貧富は不平等だが、どう生きるかは平等だ。見た目じゃねえ。心の美しさで勝負ってことだべ。」
「あら、もう、酔払っちゃの。いつも鈴木さんと、綾瀬はるのおっぱいが2Lサイズだとか、いや、アメリカンチェリー並だとか、見た目のことばかり言っているのにね。」
父は、焼酎の水割りをくぃっと飲むと、ママに、東京ってどんなことさと聞いた。ママは、しばらく東京に住んでいた頃の思い出話をしてから、正夫に向かって言った。
「私、お店が休みの日は、バードウォッチングに出かけているの。もう少ししたら巣立ちの時期なの。でも、本当は巣立ちなんてしたくないんだと思うわ。生きていくのに食べるものが足りないから、渡り鳥になったり、親の縄張りから出て行かないといけなくなるんだと思う。お父さんは、正夫君が継ぐと思ったら、しんどいけど桜桃の世話は手を抜けないって、いつも言っているの。でも、正夫がどう生きるかは自由だから、好きにしたらいいって言っているわ。親より子が大事ってね。いいお父さんね。」
照れ隠しのためか、正夫の父は、焼酎の水割りをくぃっと飲むと、「さくらんぼ食べろ」と小皿を正夫の前に押し出した。
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三者面談の時に、担任から志望を聞かれ、正夫は山形の大学と答えた。担任は、すこし、がっかりしたようだったが、それを聞いてた母は、始終にこやかだった。
サクランボの収穫が終わり、正夫の母はサクランボを持って、恵理ちゃんのお母さんのところに遊びに行った。恵理ちゃんの母は、美樹といって二人は大の仲良しだった。
「美樹ちゃんありがとう。正夫が農家継ぐと思って、桜桃の樹も増やしていたのに、担任が東京の大学に行けると余計なことを言うし、恵理ちゃんについていきたそうだったし、こういうことは親が言ったら逆効果になるから困ってたの。恵理ちゃんになんて言ったの?」
「東京には、綺麗な子がたくんいるから、東京に出たら、正夫君に、すぐに見向きもされなくなるわよ。正夫君のことが好きなんだったら、東京はやめて山形の大学に行くって正夫君に言いなさいって言ったわ。それに、私も、恵理が東京に出たら、お父さんと二人っきりになるのよ。そんなのげんなりよ。」
二人は、穫れたてのサクランボを食べながら、「うまくいって良かったわね~子より親が大事よね~」と言いながら、サクランボを次々と平らげた。
オランダに行けば、すけべ人間に行かないといけません。Scheveningenですが、ガイドさんはネタとしてスゲベニンゲンと話してくれます。砂浜ばかりのリゾートですが、ヌーディストビーチもあります。ミッフィーちゃんのような真っ当なオランダ名物について書くべきでした。ミッフィーの信号機が人気です。
二女の結婚が決まったら「私、長女、二女」女3人でオランダへ行きたいなぁ~なぁ~んてね!夢見てます♪
グランドキャニオンやイエローストーン~~~実はもう「マチュピチュ」はあきらめました←行ったら高山病になったと二人に聞いたら・・・行きたい気持ちが失せた(-.-)
イースター島は・・・イースター島とタヒチ 6日. ホテル指定なし. 599,000円←南米経由だと100万近くかかるイースター島、行って帰ってくるだけだと以前より安く行ける・・・これも、そこまでしていきたいか・・・やめようと、イースター島の夢は捨てました。
・・・・・吸ってます。
一度吸ったらやめられない呪いがかけられているから、吸わないように。
煙草を吸い始めたのは、学生の時に、高校の同級生とドライブをしたときに、人が運転しているのに、隣でスパスパ煙草を吸っていたのに腹が立って、自分も吸い始めたのがきっかけなのだ。
直ぐに海外旅行に行けるようになります。京都大学防災研究所の牧教授がコラムを書いていましたが、3行にまとめると、コロナなんて直ぐに忘れる。地震が起こっても、洪水が起こっても、みんな忘れるんだから、コロナも災害と一緒。人間なんてそんなものよとのことです。
あずさちゃん
もうひとつ、お店の特徴を言えば、ラーメンを出すとき、店員さんの親指がスープに入っていることと、閑だと、店員さんが厨房の中で煙草を吸っていたことです。しかし、天津飯とから揚げラーメン(350円)は、絶品だったのです。
ゴキちゃんもどんぶりに入ってるんじゃなかったら、見なかったことにしよっか(^<^)
毎回クーポンくれたら他のお店に浮気できないよね
今日真っ白のズボン(ハイテンションパンツ)を買って~「真っ白探してたんや!ベージュやくすんだ白ではなく真っ白!~ルンルン~」→年相応にくすんだ色で・・・
ヘン!関西空港にいる元気なおばさんたち、みんな真っ白のズボン履いてる
↑
などと、応答したら
↓
いつ海外旅行など行ける!もう海外旅行など無理無理・・・なんて言葉が返ってきた(-.-)
その中華料理屋さんは伝説になるほどのサービス満点の店です。毎回、クーポン券をくれて3枚貯まるとラーメン無料。高額の肉丼(450円)を頼むと餃子無料券が貰えます。時々、ゴキブリがチョロチョロするので、おっさんと男子校生が主な客層でした。
会社入ってから土曜ジョギングって、なんでも出来ることだぁね
そだった さぬどんが好きなの天津飯だったね
高校生のころは、パソコンオタクの引きこもりだったからね。おっと、数十年たった今も同じであった。中華丼でなくて、中華屋の天津飯(330円)。
さぬどんアンテナはうどんと中華丼ばかりに向いていたのかな笑
アメリカンチェリーは、タルトを作る時に買ったことがあるけど、佐藤錦とかの国産物は、自分のためには買えませんね。母の日ように栽培されているのが多いらしいですので、お母様にどうぞ。
スズランさん
農家の数がどんどん減っていくので、残る農家はやる気があり、大規模化していく。そのうち、自分では耕さず、社長さんのような経営者になるんだと思います。私も、農家に嫁ぎたいです。
あずさちゃん
気の利かない妹で、兄に紹介をしないのだ。妹の幼馴染だと思い出せない。3コ下に近所に誰がいたんだろう。妹しかいなかったのかな。
今や農家の方が稼げる時代になって、
東京の大学の価値が下がるとは、
想像もしてませんでしたよ!
太宰と重ねた落ちは秀逸でした笑。
タッチという漫画を読んで、どうして自分には女子の幼馴染がいないのかと嘆いていました。近所に同級生が二人いましたが、いずれも男でした。
親同士が仲良しとか小さい時から知ってるのは、彼氏彼女になるのに
かなり有利ですよね
緊急事態宣言中はバスツアーは中止ですが、東京発着さくらんぼがりは、土日は1万円。しかし、山梨ブランド肉2種せいろ蒸し御膳の昼食、それにお土産のマスクメロン、ワイナリーでのミニボトルがお土産についてきます。
・・・いつ、バスツアーに参加できる日が来るのかしら?
今もツアーはあるけど、感染対策万全とか・・・高いわぁ(@_@)
それは、Google先生の得意技です。1万種くらい教えてくれるでしょう。
wineさん
山形出身の女優、タレントと言えば、橋本まなみと渡邉えりさんです。お二方とも登場です。
リンゴさん
今年のお正月に初出荷されたさくらんぼは、500gで100万円だったと思います。喫茶店のプリンアラモードに付いているチェリーで我慢します。
お父さんの行動は愛情を感じますね。
いいお話!
サクランボを沢山食べたいけど
お高いですよねぇ~
苺の花も白だったような。
果物で他にも白い花は、あるのかな?
サクランボはの花は、白色です。
どちらも淡いピンク色で可愛い漢字なんだなぁって思いました。
さくらんぼって題名を見て、大塚愛さんの歌を思い出しちゃいましたww
スナックは、ロンドンのパブだと思ってください。男の社交場なのでしょう。酒が飲めたら、ママに惹かれて通っていたかもしれません。
またもや農家のお父さんは 息子をスナックに連れて行って
ママに頼るのだなぁ~と思いましたw
この世で、母ほど、強いものはありません。そして権謀術数、愛憎渦巻くのが女の園大奥なのです。
たまちゃん
長野県民、何を贅沢なことを言っているのですか。うどんの名産地より、ずっと、可愛らしいじゃないですか。
さくらんぼ、おいしいですよね~
長野出身の友達が、「さくらんぼの名産地っていいな~かわいいし」と
言っていたのを思い出しました。
りんごだってかわいいじゃない、と言ったんですけど、さくらんぼの方がかわいいんですって。
まぁ、隣の芝は青いってやつですかねw
いい小説だったよ。
太宰治の桜桃の話知らなかったよ。
いろんな事いっぱい知ってるね。
とでも、勉強になるよ。