Nicotto Town


五飯田八宝菜の語学学習日記


1038番:語用論について

山田君という名前は変わらないが、邦人、異邦人、留学生
ということばは、場所によって指し示す相手が変わる!


外国語を翻訳する作業は、辞書と文法、この2つの道具で訳していきます.
日本語から英語、英語から日本語、それぞれ目的に応じて「和英辞典」、
「英和辞典」を使うのですが、いつもいつも辞書が万能というわけでは
ありません.

最近あった面白い話ですが、日本にいるロシア人学生のことを
「ロシア人留学生」と訳したら、「русский студент」には
「留学生」という言葉が含まれていない.と言われてしまった.

これは「辞書」の限界を超えた世界なのです.

どういうことかというと、たとえば、フランスから留学に
来ているアンドレ君(架空人物)と友達になった山田君が
一緒に渡仏して向こうの学校で、学ぶことにしたとします.

その場合、「留学生」という言葉は、国際線に搭乗したときから
アンドレ君から山田君に変わります.

そして「外国人」という言葉が、山田君に冠せられてしまいます.
山田君はヒコーキの中で、何もしていなくても、外国人になる、
そしてたとえば、乱気流が発生して、やむなく成田空港に引き返す
ことになったとします.その場合、この2人は、また逆転して
山田君が邦人、アンドレ君が外国人になります.

場所や方向が変わるだけで、「留学生」という言葉が、誰に向けられるか
が変わる.言語学には、この不思議な現象を研究する分野があります.
それが、「語用論」です.






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