タケシの武勇伝…(16)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/10/16 08:48:42
塙さんは、タケシが追いつくのを待たずに扉を開いて部屋に入った。そこがシンさんの部屋だった。
遅れて中に入ったタケシだが、今度は驚きはしなかった。だが、とにかく部屋の広さに呆れてしまった。
…はあ?図書館かここは!
部屋は最初に訪れたデータルームの倍の広さがあり、左右それぞれに隣室に通じるドアがあった。右の壁は図書館にある梯子つきの本棚があり、きれいに並べられた本で天井までびっしり埋まっていた。左は窓際から大きなベッド、白い小さなテーブルと椅子、黒いソファーとでかいテーブル、ドアの順に並んでおり、ドアから入り口までは埋め込み式のドレッサーになっていた。窓( というより壁一面 )は全面ガラス張りで、外の光が部屋中を煌々と照らしていた。
タケシにベッド脇の椅子に座るよう勧めた塙さんは、手馴れた動作でシンさんをベッドに寝かせた。すると、ドレッサー側のドアからノックの音がして、お手伝いさんらしき女性がお茶とケーキを運んできた。
「北野くんはコレ好きだよね。いっぱい食べてよ…」
横になったシンさんが、優しい目をしてケーキを勧めた。タケシの大好物であるチョコレートケーキだった。
椅子に座って落ち着いたためか、タケシはもう多少のことでは驚かなくなっていた。シンさんがタケシの好物を知っていることにも今さら何の疑問も感じなかった。だが、勧められたケーキにいきなり手をつけるようなマネはしなかった。目の前に塙さんが立っていたこともあるが、ここまで自分を連れてきて一体何をしようというのかが気になったからだ。
「シンさん、一体俺に何をさせようっていうんだよ?」
「それはね・・・」
「それは、わたくしから申し上げましょう」
シンさんを制して、塙さんが口をはさんだ。
「北野さん。真也さんは貴方の指を元に戻したい…いや、正確には元のように動かせるようにしたいのです。そのためには、まず貴方にお伝えしなければならないことがあるのです」
塙さんの口調は相変わらず丁寧で落ち着いたものだった。だが、このあと続けた言葉には丁寧な上に重々しさを感じさせる響きがあった。
「貴方にケガをさせてしまった原因ですが、実は、わたくしどもにも責任があるのです」
…???
タケシは、一体何を言ってるのか訳が分からず、ただじっと塙さんの目を見つめるばかりだった。
※※つづく※※
って事は、プリントを渡すように頼まれたのも...
コメントの下に失礼いたしますが、「自作小説倶楽部」会報です。
杏珠羽さんが入会されました。宜しくお願いします。
購読会員か、小説を書かれるかはいまご本人に伺っている最中です。どちらか分かりましたらサークルのページにてお話させていただきます
ぁと、このお話、ご自分で成作なさったのですか?
つづきがきになりますね・・
レシピありがとうございます!早速、やってみますね^^