1065番:アルト・ハイデルベルク(83)
- カテゴリ:日記
- 2021/05/25 09:58:13
アルト・ハイデルベルク
【83】
Käthie.(lacht). Des glaub' i a. Jetzt werden mer's einstudieren. Da
steht der Herr Onkel, da steht die Frau Tante, da die Frau Großt-
ante. So. Jetzt kommt der Prinz dahier nein. Jetzt tret i vor.
Jetzt sag i — nein, 's war falsch. 's ist so: Da steht der Herr
Onkel und halt den Buschen in der Hand. Und wie der Prinz
neinkommt, tret i vor, und der Herr Onkel halt mi den Buschen
entgegen. und i nehm ihn sag (hört den Lärm der ankommenden
Studenten). Jessus Maria, die Sachsen !
Rüder. Nu komma die au schon angefahre ! 's ischt zu viel für an
einzelnen !
——訳——
ケティー:私もそう思うわ.さあ、リハーサルをしておきましょう.
叔父様はそこに立っていらして.叔母様はそっち.大叔母様は
そこ、そうよ.そこに公子殿下様がお入りになる.それで私が
前に歩み出るの.そして私がこれを申し上げる——いいえ、
違うわ.そうじゃなくて、こう.伯父様がそこに立って手に
花束を持っているの.そして公子殿下様が入って来られると、
私が前に出るから、伯父様は私に花束を差し出してちょうだい.
それから私がそれを受け取って言うの.(到着した学生たちの
騒ぎ声を聞いて)あら、大変.ザクセン学生団よ.
リュウーダー:もう他の学生さんたちもやって来るぞ!
我々だけでは、とても(準備は)無理だ.
《語句》
des glaub' i a. → das glaube ich ja. の訛りだと思います.
私は然りだと思います.
ein/studieren (他) [ある役・歌など⁴を](練習して)覚えこむ、習得する
❷[バレエ・オペラなど⁴の] けいこをする
jetzt werden mer's einstudieren. →jetzt werden mehr es einstudieren.のことか?
さあ、もっとリハーサルをしましょう.
普通の語順はたとえば、jetzt studieren wir es mehr ein !
と思うのですが、方言のためかなと想像しています.
jetzt kommt der Prinz dahier nein → これも自信がないのですが
jetzt kommt der Prinz da herein (そこに公子殿下様が入って来られる)
der Prinz{en/en} 王子、皇子、この物語の設定はKronprinz なので皇太子
ただし、第1幕での訳語を持って来る方が自然と思い公子殿下と
しました.
herein/kommen (i/s) 中に入って来る
jetzt tret i vor → jetzt trete ich vor. のことと思います.
そこで私が前に歩み出るのよ.
vor/treten (i/s) 前の方に歩み出る
falsch (形) 間違った
der Buschen →(方言と思います)→ der Busch 大きな花束
entgegen/halten (t/h) (3に4を) 差し出す
der Lärm {es/ナシ} 騒音、雑音、喧噪
(今後、複数形のない名詞は語尾表示をしません)
der Lärm {es/ナシ}はder Lärm {es/}と表示します.
Nu komma die au schon angefahre! さあもう他の学生さんたちもご到着だぞ.
nu は nun (今や、もう)の地方訛りと思います.
komma はkommen、
die は die andere Studenten 他の学生たち、
au は auch の、それぞれ省略された訛り発話と思います.
an/fahren の項目には、「やって来る」の意味はなかったのですが
アクセス独和の追い込みに
angefahren kommen (乗り物で) やって来る
がありました.
この場合、angefahrenを前綴りとする分離動詞 (angefahren/kommen)
と考えてよさそうです.
einzeln (形) 個々の、いくつかの
's ischt zu viel für an einzeln → das ist zu viel für an einzeln
私たち数名の手ではとても追いつかない.
an einzeln 若干名の手で
für an einzeln 若干名の手では
zu viel 多すぎる、間に合わない、手に負えない
* 's ischt zu viel für an einzeln
この箇所を他の訳本で照合したところ、
「ひとりきりじゃやりきれんよ」という訳がつけられています.
einzeln には「ひとりの」という意味があるらしく、たとえば、
Einzelzimmer (ホテルの)個室、一人部屋
のように使われています.
私たちは、辞書に従って、「数名ではやってられない」
の訳をつけましょう.