【第5話】黄昏のソロキャン
- カテゴリ:自作小説
- 2021/06/18 23:20:25
今回は神田さん視点のお話です。(またかいw)
「じゃあじゃあ、もう一杯行きますか?」
なんだろ、バイト後輩女子、森田ゆきが結構盛り上がってる。
「ん…そうだな。最近飲んでなかったから…」
何で乗るんですか、佐々木先輩っ
バイト先のメンバーが10人集まった、佐々木先輩の送別会。近くの居酒屋に集まったのは、同じ大学のメンバーと、近所の主婦パートさんたち。
「佐々木君、本当に辞めちゃうの?何だか寂しいわぁ~」
「そうそう、佐々木君ってほんと、仕事できるしカッコいいもんねっ」
「からかわないでくださいよ。俺はただのバイトですし、言われたことやってるだけなので大したことないですよ」
主婦Aパート(27歳 5歳♂子持ち)さんは
「そんなことないわよ? 何でもテキパキこなしちゃうし、若いのに機転が利くしねっ」
主婦Bパート(33歳 6歳♀と4歳♂子持ち)さんも
「私だってさー… 佐々木君に指示された事だけやってたもの。まあ新米だったからかなあ」
主婦Cパート(31歳小梨 元ギャル系かな?パンツ見えそうなくらいのミニって…)
「Bさんそりゃそうでしょっ でも佐々木君って何気にこなしちゃうから、ほんと素敵なんだよね~」
うーん、濃ゆすぎる主婦同士の会話…
私はちょっと飲みすぎちゃったかもしれない。
「ごめん森田、ちょっと外の空気吸ってくる」
後輩女子、森田は驚いたように私の方を振り返って
「え、神田さん…大丈夫ですか?飲みすぎ?」
「そうでもないけど… ちょっと休憩かな」
スマホ見たら、もう結構なお時間でさ。
ソロキャンなら、これくらいのアルコールは平気なんだけどなぁ…
やっぱり密閉した空間でのアルコールは、効くのかな…って思ったの。
外の風に当たった。
店内とは比べ物にならないくらいのさわやかさだよ。
都心に近い、でも昭和の佇まいを残してる商店街の一角にある居酒屋なので、風の通りがいいのかもしれないな。
「ん…」
私は、スマホの画面をなぞって、さっき届いた画像をもう一回開いて見てみる。
クマさんが満面の笑みでど真ん中に。
そして向かって左側に、メガネを外して笑ってるしずかさん、そして…右側にはちょっと困ったような表情で写ってるのは、天塚クン。
ごめんね。
キミと一緒にいたかったんだけど、送別会だから仕方ないんだよ、ほんとゴメンね…
って、私は画面の右側に向かって小さく頭を下げて、ぺこぺこって。
そしたらさ、
「なにを謝ってるの?」
びっくりしたーーー!! 背後から声かけられ、振り返るとそこには佐々木さんが、不審そうな表情で私を見ていたんだ。
「あ…あ…なんでもありませんっ!」
「えと、じゃさあ、なんでそんなに慌ててスマホ隠すんだ?」
佐々木さんはちょっとだけ笑って、私が背中に隠したスマホの方を見やる。
「だから何でもないんですってば!」
「はいはい 分かったよ。神田がそう言うんなら何でもないんだろ?」
いつの間にか佐々木さん、私の隣に立ってる? なんで?ん?
「そうですよー だから、店に戻りましょう!」
挙動不審さ全開で、私は踵を返して小走りに店内に戻ろうと。
「待ってよ!」
声かけられて、あっと思って立ち止まっちゃった。そしておそるおそる振り返ったら
「あはは 待てと言われて、本当に待つ人って初めてだよ」
佐々木さんがくしゃくしゃって顔になって、笑ったのが…街灯の明かりで見えたの。
なんだろ。背中に回した手のひらの中メッセージ着信した音が鳴ったのに。
きっと、大好きな天塚クンからのメッセージだって分かったのに。
私は立ち止まったまま、動けなかったんだ…
(続く
きっと魔法使いだよ^^迷える子羊たち、気をつけてねアハハ!
「私は立ち止まったまま、動けなかったんだ…」
ここで曲が流れます。「ずっと ずっと ずっと…♪」
(またまた宣伝です。← しつこい?w)
年上VS年下?
次作に期待です~♪