かなしみ
- カテゴリ:小説/詩
- 2021/07/31 22:12:08
ベランダから外を見る
都会の夜を照らす灯りは
昼間の嫌な空気を隠し
良いものだけを映し出す
そんなものでいいのだろうか
私たちもそうだった
お互いに嫌なものを隠し
むつばしいものだけを見せていた
きっと二人離れるのが怖かったのだろう
悲しいほどに淋しかったのだろう
あの星は何?
この星は?
答える人はだれもいない
話さないことに慣れていた
言葉を探していた
このまま二人
何も求めないままに
過ごしていかれるのだろうか
黙っいても何も怒らない
自分に飽きたのだろうか
あなたは悲しい顔をして
私に別れを告げた
何故か悲しみを覚えなかった
もうこの関係のお終いが
見えていたのかも知れない
強く抱きしめた
今までないほどに
涙をたくさん出して
あなたを困らせたわね
最後の夜だった
あなたは今頃どうして居るだろう
今も黙って海でも見ているのか
寡黙なあなたが生きていくには
辛い世の中かもしれない
それが自然だからしかたあるまい
本当なら別れたくなかった
あなたを愛せるのは
私だけだと思っていた
でも別れた
それが独占欲だ
もう忘れよう
でも忘れない
ベランダで街の灯を見る限り
あなたのことは忘れない
星が心に刻まれたように
切ないですね。どこで何が途切れたのでしょう。
お互いに分かり合えたはずなのに。
夏が過ぎて行きますね。
夜明けとともに一つ一つと消えていく
朝日の差し込む狭い部屋
わたし一人だけの影がベッドに映り込む
表情の見えない黒い影が
白いシーツに寂しそう
今夜も星が見えるのかしら
あなたと見た私たちだけの星が・・・