夏の空
- カテゴリ:小説/詩
- 2021/08/06 14:50:43
この夏
あなたを失った
まるで私の前から消え去ったようで
いつのまにかいなくなた
なぜだろう
私はそのことを予感していた
いつかそんな時がくることを
座っていた隣にあなたが
ぽっかりといなくなって
でもさがせない
雨の朝
ガラス越しに雨粒を見ていて
つたって落ちるそれらが
悲しく見えて
あなたのことが悲しくなった
今頃
どうしているのか
私になぜ会ったのか
悲しみだけを残して
意地悪なあなた
傘をさしてせ外に出ると
雨のにおいがした
それはあなたの匂い
私の体の中にまだ残っていて
時折私を包む
もう忘れないと行けない
前に進めない
雨をみる毎に
思い出していては
だれも愛せない
やがてやって来る青空に誓おう
あなたの匂いを持っていってと
そして白い雲に託そう
あなたを想うこの心を
雲の力て開いてと
すてきですね。セミの鳴き声と一緒に季節も変わっていく。
夏の名残のように。
樹林には何匹ものセミが鳴いていた
その声は木々の間から青空の中へと抜けて行った
わたしはその中からあなたの声を探していた
ミンミン、ジージーと騒がしい音の旋律
その中にわたしの名前を呼ぶ声を探していたのだ
上を見上げると青い空に浮かぶ白い雲が見える
聞き取れないまま目を下に落とすと
飛び立った後のセミの抜け殻を一つ
木の幹に見つけた
瞬間その割れた背中から
あなたの声が響いたような気がした