1256番:さすらいの青春(101)
- カテゴリ:日記
- 2021/08/30 06:00:38
さすらいの青春(101)
—————————【101】————————————————
CHAPITRE Ⅳ
L' EVASION
A une heure * de l'après-midi, le lendemain, la classe
du Cours supérieur est claire, au milieu du paysage
gelé, comme une barque sur l'Océan. On n'y sent *
pas la saumure ni le cambouis, comm sur un
bateau de pêche, mais les harengs grillés sur le
poêle et la laine roussie de ceux qui, en rentrant, se
sont chauffés de trop près.
——————————(訳)————————————————
第4章
脱走
翌日、午後1時、上級クラスの授業は、凍りついた
景色の中、洋上の船のように晴れやかな時間である.
漁船で臭うような塩水のにおいも古い油のにおいも
しないが、ストーブの上で焼いたニシンの臭いや、
教室に戻ったので暖まろうとして近くによる生徒たち
の身に付けた毛糸の焦げたにおいがする.
—————————《語句》—————————————————
évasion (f) 脱走、 逃亡
* a une heure 午後1時に
下書き原稿では午後2時となっていたとのこと.
ここは後に、妹のイザベル・リヴィエールの提
言により「午後1時」に修正されたと言います.
エミール=ポール版(1913年)を底本にし
て訳されている邦文訳は、「午後2時」となっ
ていると言います.尚、私たちが使っているの
は、ファイヤール社1972年版です.
そこでいつものように訳本チェック.
全5社の訳本をみたところ
午後1時で訳されている: 2社
午後2時で訳されている: 3社
clair(e) (形) 明るい、明るく澄んだ
Par temps clair よく張れた日に
gelé (e) (形) 凍った、氷に覆われた
<geler (他) 凍らせる (自) 凍る
paysage (m) 風景、景観
saumure(f)[ソミュール] (塩漬け用の)塩水
cambouis (m) [カンブウィ] 汚れた油(潤滑油の使用後の油)
pêche (f) 魚釣り、漁、漁業
☨ hareng (m) [アラン] 鰊(ニシン) (☨は有声のhの印)
grillés <griller [グリエ] (他) 金網で焼く、煎る
pain grillé トースト
griller du café コーヒーを煎る
(自) 焼ける、こんがり焼ける
poêle (m) [ポワル] ストーブ
poêle à gaz [ポワル ア ガズ] ガスストーブ
roussi(e) (形) 焦げた <roussir (他) 赤褐色にする、焦がす
laine (f) [レヌ] 羊毛、ウール、毛糸
rentrant <rentrer (自) 帰る、帰宅する、戻る
chauffés <chauffrer (他) 暖める、熱する
(自) 暖かくなる、熱くなる
Elle fait chauffer de l'eau sur le réchaud.
彼女はこんろで湯を沸かしている.
se chauffer (代動) 体を暖める、 ② (部屋を)暖房する
————————— ≪文法≫—————————————————
(本文3行目後半から)
* on n'y sent pas ~mais と続いています.mais 以下には
動詞が見当たりませんが、sent が省略された形になっていま
す.つまり、
On n'y sent pas la saumure ni le cambouis,
comm sur un bateau de pêche, mais (on y sent)
les harengs grillés sur le poêle et la laine roussie
de ceux qui, en rentrant, se sont chauffés de trop près.
ちょっと長いので comme のところをちょん切って
見てみましょう.
On n'y sent pas la saumure ni le cambouis,
mais (on y sent) les harengs grillés sur le poêle
et la laine roussie de ceux qui, en rentrant, se sont
chauffés de trop près.
塩水の臭いも、グリスの臭いもしないが、魚(鰊)
の焼くにおいや、帰りに温まって行こうとする生徒
たちが、ストーブに寄りすぎて毛糸を焦がすにおい
がする.
* 尚、sent は sentir の現在形で書かれていますが、
勿論、過去について語る場面なので、訳す時には
過去形に変えても大丈夫です.ただし、試験では
忠実に現在形にしておいた方が無難です.採点者
の立場としては、sent は「におっている」sentait が
「におっていた」で処理しなければならないのです.
そこは採点者も、本当につらいところなのですよ.
と、昔ハロー通訳アカデミーで知り合った友人