【第11話】青空の行方~ゆくえ~
- カテゴリ:自作小説
- 2021/09/12 20:27:32
「お前らっ!担任に内緒で何をやってるんだっ!」
疾風のように現れたのは槇原先生だった。
小柄な体から、さっきの犬トラブルの時よりも凄い怒りのオーラを放っていたのが、隠れて潜んでいた拓海と結衣にもはっきり分かる。
怒髪天を衝くってのはこういうことを言うんだろう。
そこの場所だけ、LEDの明かりがあるからはっきり見えるわけで。
「え…先生…」
思わず慌てたように、楓が涼の前に進み出たが、それを全く意に介さない槇原先生は
「こんな夜中に…青少年の男女がしかもペアでっ…!風紀の面からも見過ごすわけにはいかん!」
「そ…そんなこと言われても…私たちは班長に言われて…」
「班長だとっ?中宮がそうそそのかしたのかっ!」
もう手が付けられない。
拓海と結衣は、並んで物陰に隠れて座ったまま槇原先生の迫力に押され(まぁ脅かし役なので出張るわけにもいかないが)固まってしまった様子で動けない。
その時だった
「ん…マッキーさぁ… ちょっと担任として勉強不足、てか認識不足なんじゃねーの…?」
あれ?誰? 結構冷静に、しかも呆れたような声が聞こえた。
楓が振り返る。すると肩をすくめて首を振る涼がいて。
「なんだとっ!」
槇原先生は更にヒートアップする。
でも、落ち着かせるように涼は、先生前に進むと
「ほら、林間合宿の行事予定表だよ。すでに生徒会と職員会議には提出済みで、生徒会長と学年主任の採決も受けてるよ」
「…え?え?」
涼が差し出したプリントをひったくるように掴んだ槇原先生はその場で動けなくなってしまった。
後ろで一つに束ねた長い髪が、木々を過ぎていく風に靡いているジャージ姿の槇原先生は、それでも納得がいかない様子だ。
「だって…だって、お前が…」
「だからー先生っ!あんまり大きな声出すなよ。天塚さんが怖がってるだろ?お化けよりも怖いんだからさ…」
「うるさいっ! 分かったわよっ! お前はその可愛くておとなしくて、美少女の天塚と一緒にキャーキャー言われながら肝だめししてればいいじゃないかっ!」
「くじ引きで決まったんだからしょうがないだろ?天塚さんだって俺なんかとペアになって不本意だろうしさ…」
「ん… 仕方ないから認めるっ!早く終わらせろよ…」
しょんぼりした後ろ姿を見せながら槇原先生が去っていく。
「なんか…びっくりしたね…」
まだ頬を紅潮させたままの楓が、ため息ついて槇原先生の後姿を見送っている涼に近寄り、そう話しかけた。
「ああ…そうだね… だからちゃっちゃと終わらせてコテージに戻ろうよ。なんか寒くなってきたし」
涼は楓にそう告げると背中を向けて。
その姿は、なんだか取り付く島もない。
「ふ…なんだったんだろう今の…」
2人が立ち去ると、脅かすこともできないままの拓海は立ち上がる。
「そうだね… なんだか飲まれちゃったよね…」
結衣も続いて立ち上がる。
「槇原先生って、ほんと怖いよなあ」
「うん、そうだね…てかさあ… それだけで?」
「ん?なんだ?」
なんであんなに怒ってたんだろうっていう疑問が二人の脳裏に貼りついて離れない。
「たしか涼は天文学部で…槇原先生は顧問になったばかりだって言ってたな…」
「そっか、だからよけいに、顧問の生徒が…風紀乱すような…ってことだよね」
「だろうな」
「さ あとは…一平と沙也加だ。 それが終わったらコテージに戻れるぞ」
拓海の言葉に、ふと我に返った結衣。
「うん、わかった。脅かそう!これで最後だから目いっぱい脅かそうっ!」
「だなー!」
拓海が再びしゃがみ込む。その隣で結衣は、複雑そうな表情になっている。
「ねぇ…拓海? 一平と沙也加が二人で肝だめしにって、なんかそれいいのかな?」
「なんでだよ?いきなり…」
不思議そうな声で拓海が答える。その声からは、結衣は感情を読み取れない。
「だって…だってさ、拓海と沙也加は幼馴染じゃん? 仲いいじゃん?
?だからさあ…沙也加に近寄ってくる男子のこととか気になったりしないの?」
?だからさあ…沙也加に近寄ってくる男子のこととか気になったりしないの?」
必死すぎ?
「あはは、なことないよ。しかも一平っていい奴じゃないか。それは結衣も知ってるだろ?」
「いい奴だったら、沙也加と仲良くなってもいいの?」
振り返る拓海。結衣の表情はザンバラ髪に隠れて読み取れない。
「ご、ごめんね なんか変にエキサイトしちゃってさっ」
照れ隠しに笑って見せるが、もちろんその顔も拓海には見えない。
「まあいいけど… ん、てか、あいつら来たぞ!」
拓海が指さす方向。一平と沙也加が並んで歩いている姿がそこにあった。
(続く
背が小さいというのは前に知ってたけど、ずっと男性と思ってた~w
槇原先生は、林間合宿で、きもだめし・・・より、もっと、役に立つと思う計画を、
出してほしかったのよ~~~~~ん
槇原先生を、甘く見るなよ!!な~~んちゃって。
けーすけさん、無理に話進めなくてもいいからね、面白いからww