Nicotto Town



いつかどこかの同じ場所

夜の9時過ぎ、普通しか停まらない駅で電車に乗る。

帰宅時間帯は下りが込んで
上りがすく。
地域によっては反対の処もあるだろう。

ガラガラの車両に腰掛けて、夜を走る電車の窓ガラスに
疲れて無表情な自分の顔が映る。
揺れが心地よくて、あっという間に意識がなくなる。

電車の中で寝ているのは確かだ。
瞬時の眠りがあまりに深く、
意識が戻るとき、
今どこにいるのかわからなくなるときがある。

隣に連れがいたのか。
仕事の帰りか
買物か。

ほんの一瞬だ。
すぐに、ああ、夜の電車だと思いだす。

ゴトンゴトッ。
相変わらず乗客はまばらで
みんな無口だ。

永遠の辿りつくことのない駅に向かって走り
降りる場所を忘れた気分。

この感覚は高速道路でもよく起こる。
流れていくビルや家の灯り。
橙色のライトが道路脇に延々と続く。

この風景は先進国の
高速道路では、本当に似ている。

異国なのに、
家に向かって走るタクシーに乗っている気がしてくる。

親しい誰かが、とても恋しくなる。

それはいつも夜の空いた電車や
高速を走る夜の車だ。

いつかどこかの
それは、時間を超えて
きっと同じ場所として記憶に残る
寂しさと恋しさだ。


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2008/12/29 00:21
切なくなる詩ですね






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