1326番:スガンさんの山羊(39)
- カテゴリ:日記
- 2021/10/01 10:25:46
スガンさんの山羊(39)
——————————— 【39】—————————————
——Ha ! ha ! la petite chèvre de M. Seguin ; et il
passa sa grosse langue rouge sur ses babines d'amadou.
Blanquette se sentit perdue...Un moment, en se rappelant
l'histoire de la vieille Renaude, qui s'était battue toute la nuit
pour* être mangée la matin, elle se dit qu'il vaudrait
peut- être mieux se laisser manger tout de suite ; puis,
s'étant ravisée, elle tomba en garde, la tête basse et la
corne en avant, comme une brave chèvre de M. Seguin
qu'elle était....Non pas qu'elle eût l'espoir de tuer le
loup, ——les chèvre ne tuent pas le loup,——mais seulement
pour voir si elle pourrait tenir aussi longtemps que la
Renaude...
——————————— (訳)—————————————
——がはははは! スガンさんの山羊君だ;狼は(そう言って)
大きな赤い舌を(膨れ上がった)ほくちのような唇の上で動かした.
ブランケットはもう駄目だと思った.一瞬、一晩戦って、結局
翌朝食べられてしまったルノードばあさんのことを思い出して、
すぐに食べられた方がましかもしれない、と思ったが;すぐに
思い直して、スガンさんに所属していた勇敢な山羊として身構え
る体勢を取った.頭を低くし、角を前に突き出した.彼女が狼を
殺せる望みがあったからではなく——もとより山羊が狼を殺せる
わけはなかった——そうではなくて、ただ単に自分もルノード
おばさんと同じくらい持ちこたえられるかを試してみたくてのこと
だった.
——————————— 《語句》—————————————
ha ! ha ! (間投詞) [笑い声] はっは
このhに限りフランス語で例外的に発音されます.[ハッ!ハッ!]
babines (女複)[バビーヌ] (俗) 唇
❶(猿、らくだなどの)垂れ下がった唇
❷[話](くいしんぼうの)唇
本文
では❷(くいしんぼうの狼が舌なめずりをした)
amadou [アマドゥ] 火口(ほくち)
火口:火打石でできた火花で火を起こす綿(状のもの)
se sentit perdue 自分を失ったと感じた→もうだめだと思った.
[se sentir + 属詞] 自分を~だと感じる
perdre には「失う」とか「破滅する」という意味があり
se sentit perduで「自分がもう終わりだと思う」になります.
perdu の語尾e はブランケットが女の子だから.
*pour 本文5行目 この pour は「結果」(~して、その結果...)
Il partit pour ne jamais revenir.
彼は立ち去って二度と帰ってはこなかった.
* 「彼は二度と帰らないために立ち去った」と訳せば誤訳.
vaudrait (条件法) <valoir (自) (...)の値打がある
Il vaut mieux + 不定詞 [非人称]~する方がよい
Mieux vaut + 不定詞 [非人称]~する方がよい
Il vaut mieux rester chez soi. / 家にじっとしている方がよい.
Mieux vaut prendre la parole que rester muet.
黙ったままでいるより発言する方がよい.
se laisser + 不定詞 ~されるがままになる
se laisser manger 食べられるがままになる
Il vaut mieux se laisser manger tout de suite.
すぐに食べられるほうがいい (狼にpar le loup)
Il vaudrait peut- être mieux se laisser manger tout de suite.
今すぐ食べられた方がいいかも知れない.
Elle se dit qu'il vaudrait peut- être mieux se laisser manger tout de suite.
今すぐ食べられた方がいいかも知れない、と彼女は思った.
s'étant ravisée (複合分詞)<se raviser (代動)
思い直す、意見を変える、考えを変える
tomba en garde 身構えた <tomber en garde 身構える
tomba en + 不定詞 ~の状態になる
être en garde 構える、警戒態勢を取る
non pas que A(接続法)、mais B
AではなくてB
Non pas qu'elle eût l'espoir 彼女に希望があったわけではなく
eût は avoir の接続法半過去
接続法半過去とは、主節が過去のとき、そこからみた未来
を表すのに用いる.(接続法における過去未来)