「極超音速兵器」登場で状況は一変
- カテゴリ:日記
- 2021/12/05 14:08:06
防御できない極超音速滑空ミサイル
──この二十数年、日本は偵察衛星や海上自衛隊のイージス艦、航空自衛隊のPAC3を配備し、ミサイル防衛システムを整備してきましたが、これらでは北朝鮮や中国、ロシアのミサイルに十分には対処できないのでしょうか?
岩田清文氏(以降、敬称略) ええ、不十分なのです。ミサイルには様々な種類があるのですが、1つの兵器ですべてに対処できる時代ではありません。
例えば弾道ミサイルの場合は、発射後、射程にもよりますが、高度数100~1000キロの宇宙空間に出て頂点に達したあたりでロケット噴射を止めます。その後は、放物線を描くように速いスピードで自然落下してきます。従って何分何秒後にこの付近に位置する、と予測することができます。それをまず、イージスシステム搭載艦で撃破し、できなかった場合はPAC3で迎撃するという2段階で対処します。
例えば射程約1800キロの弾道ミサイルであれば、秒速4km程度(マッハ約11.8)で飛翔します。これに対しては日米共同で開発したSM-3ブロック2Aミサイルが、弾道計算された迎撃点に向け、高速でほぼ直進して撃破するのです。
ちなみにこの2段階のミサイル防衛システムで、弾道ミサイルの飛来から国内の重要な地域や場所を守ることはできるのですが、日本本土隅々までを確実にカバーするのは難しい。さらには数の問題もあります。有事の際には大量に撃ち込まれる可能性が高い。すべて撃墜することができない場合があるかもしれません。大量のミサイルにどう対処するか、といった問題は依然として残っています。
もう1つ対応を考えるべきミサイルは、近年、中国やロシアが急速に開発を進める極超音速滑空兵器です。大気圏内においてもマッハ5以上の極超音速で飛行し、高度数十キロの低空でジグザグに進路を変えるため、弾道ミサイル防衛用に配備した地上レーダーで捉えたり、追跡したりすることが難しいと言われています。弾道ミサイルのように何分何秒後にどこに位置する、と予測することができない。おそらく、世界の国々でこのサイルを撃墜する対空ミサイルは存在しないと思います。自衛隊の2段階のミサイル防衛システムでも極めて難しいと言わざるを得ません。
英紙フィナンシャル・タイムズが、中国が核弾頭を搭載可能な極超音速兵器の発射実験を今年(2021年)8月に行っていたと報じました。また米CNNは、この実験で発射したミサイルは地球を1周した後、極超音速滑空体を中国国内の目標物に投下したと報じています。
岩田 中国の極超音速兵器開発について、米軍トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が、1957年に旧ソ連が人工衛星を人類史上初めて打ち上げた「スプートニク・ショック」の衝撃を例に出して「極めてそれに近いと思う」と語ったとアメリカや日本のメディアが報じています。
以下略
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67877