根津甚八『墓場の島』
- カテゴリ:音楽
- 2021/12/11 15:32:48
プロ歌手でない俳優の歌にも忘れ得ぬ曲というのがあります。
最右翼がタイトルの『墓場の島』。CDにはなっていないのかな。
1977年の土曜ドラマ『男たちの旅路』の劇中歌、DVDになってます。
山田太一原作、鶴田浩二、水谷豊、桃井かおり、柴俊夫らがレギュラー。
ネタバレはいつも通り避けますけど、当時まだ状況劇場に在籍していた
根津甚八がブレイクするきっかけの一つだったのではないかな。
この後NHKへの出演が増え、アイドル的に騒がれて唐十郎の元を離れます。
77年あたりは根津のみならず桃井や水谷も実際に鬱屈を抱えており、
それが画面に迸っていたから夢中になって見たのかもしれません。
根津甚八は『上海帰りのリル』が売れ過ぎたのも不幸ではありました。
『墓場の島』に数々のカバーもあるようですが、オリジナルには到底及ばない。
劇中で二回唄ったはずですが、終盤のほうが、とにかく……キます。
伯父の永代供養墓から帰ってきたら聴きたくなったのです。
歌詞を無断引用しますが不適切ならご指摘を、即時削除いたします。
作詞山田太一、作曲ミッキー吉野、演奏は後のゴダイゴ。
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死ねば只の土塊に 戻るだけだと身に沁みている
墓場が何になるだろう 花や線香が何になる
死んじまえば終わり 死んじまえば終わり
どうして俺は ここへ来た? ……
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なぜ墓場の『島』なのかはストーリーに関連するので割愛します。
私にとってジョー山中の『人間の証明のテーマ』、
デイブ平尾の『I stand alone(一人)』と併せ、昭和三大名曲。みな故人だ。
松田優作、原田芳雄もアルバムけっこう作ってますけど、
根津甚八があの時期に演じ唄ったこの劇中歌の迫力には及ばない。
彼が三十路にして出会った、早すぎる白鳥の歌だったのかもしれません。