ミサイル部隊を4拠点に 有事に離島間移動も
- カテゴリ:日記
- 2021/12/13 17:56:37
南西諸島で進む自衛隊配備。防衛省は防衛上の「空白地帯」を解消するため、奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島に陸上自衛隊のミサイル部隊を配備し、4拠点態勢で島しょ防衛を強化する。この地域に同部隊を置く狙いは何なのか-。
「より強固になった日米同盟の姿を、内外に示す良い機会となった」。7月1日、鹿児島県の奄美駐屯地でミサイルを運用する日米の高射部隊による対空戦闘訓練を視察後、陸自トップの吉田圭秀陸上幕僚長はこう強調した。
防衛省が南西地域に配備する03式中距離地対空誘導弾(中SAM)は防空、また地対艦誘導弾(SSM)は侵攻を試みる艦艇を阻止する装備だ。同省は「あくまで日本を防衛するための防御的な装備」と説明するが、中国の急速な軍拡と海洋進出をにらみ、対中抑止を念頭に置いていることは間違いない。
同省関係者は「SSMの配備で、抑止力は相当上がった」と解説する。SSMは移動式発射機で機動性を備え、有事には他の離島への展開も可能だ。いつ、どこから発射されるか分からず「中国の空母も簡単に間合いに入れなくなった」。
中国は南西諸島、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」を抜けて西太平洋への進出を目指し、沖縄周辺でも活動を活発化させる。南西地域へのミサイル配備は、こうした中国の動きをけん制する上で重要な役割を持つという。
「米軍もSSMを重視するようになっている」。陸自幹部は、数百キロの射程を持つSSMが米国にとっても不可欠な装備になりつつあると指摘。ミサイル分野での日米連携は一層深まっていくとの見方を示す。
11月の自衛隊統合演習では、宮古島駐屯地のSSM部隊が四国沖に展開する海自艦艇や空自の航空機、米海軍第7艦隊とデータをつなぎ、共同で敵艦艇に対処するシミュレーション訓練を行った。同演習に米軍が参加するのは初めてだ。
米軍はSSMを配備していないため「海兵隊だけでは自らの基地を守れず、同盟国を頼るしかない」(陸自関係者)。米中対立が先鋭化する中、日本防衛のための防御的な装備は、米軍の軍事的優位に寄与するという側面を持ちつつある。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/878164