先週、吉祥寺にうどんを食べに行った。11時前に着き、お昼には少し早いので、映画を見て時間を潰すことにした。

映画館は、駅前のパルコの中にあるuplink。パルコは、学生時代、オシャレな香りがプンプンしているところだったが、今は、スシローも入っている。

観る映画は、一番上映時間の近い「ロボット修理人のai」を選んだが、70代後半くらいのお爺ちゃんとお婆ちゃんで、満席になっている。入口に日比谷高校と書いた紙を持ったお爺ちゃんが立っていたので、映画館で同窓会をしているのだろうか。

都立高校の雄である日比谷高校出身の人生経験豊富なお爺ちゃんお婆ちゃんが選ぶ映画に間違いはない。

家庭に事情があり、高校に通わず、皿洗いや清掃のバイトをしながら、榛名湖のほとりで、一人暮らしをしている主人公。明朗、仕事熱心で、地域の皆に愛されている。

SONYのAIBOの修理も手伝っている。東京に暮らす大空真由美が、息子の形見と大事にしていたAIBOが動かなくなり、主人公に預けられたことから、ストーリーが展開していく。
http://roboshu.com/

普段、つまらない映画を観た時は、途中で寝てしまうことが多いが、この映画は、最後まで、しっかりと観た。この内容で、1900円を取るのかと、憤っていたのである。

主人公以外は解説的な台詞ばかりで、場面や回想を、映像でなく台詞で説明してしまう。違和感を感じる場面も多い。

ヒロインの女の子は、2歳で重病を患い、声が出せなくなり、身体も不自由になった。それ以来、ずっと病院で暮らし、外に出たことがない。それなのに、主人公と、楽しそうにお祭りに行き、険しい山に登る。そんなに元気なら、学校に行った方がいいのではないかとか、

そのお祭りに行く時、身体は大人になっても、知性は3歳くらいで止まってしまった堀口君が運転する軽トラの荷台に乗り、山道をクネクネ走っていくが、運転させたらあかんやろ〜とか

なんで、山登るのに壊れたAIBOを持っていくんやとか、

心の中で毒づいていたら眠れなかったのだが、隣のおばさんは、スクリーンを見ながら、何度もハンカチで目頭を抑えている。こころの綺麗な女性なのであろう。

そんなふうに、この映画は、心の汚れた人間か清らかな人間かを見分けることが出来るリトマス試験紙のような力を持っている。

エンドロールが終わったので、立ち上がりコートを羽織ったが、隣のおばちゃんが、席をた立とうとしない。感動のあまり、腰が抜けてしまったのかと思っていたら、監督と主役を演じた土師野隆之介君が舞台に立った。

席に座り直し、舞台挨拶を聞く。監督の話を聞いても、映画の評価は変わらないが、隆之介君は、素直で賢くてカッコいい。なのに謙虚。息子にするなら彼である。

心に汚れがない人にお勧めの映画です。