48冊目、読了!
- カテゴリ:日記
- 2021/12/31 20:39:32
「青空と逃げる」 辻村 深月 著
「凍りのくじら」、「かがみの孤城」に続いての辻村作品である。思い出してみると小学生や中学生、高校生などの子供が皆主人公であった。
「青空と逃げる」では、終了間際にオホーツクブルーと言われる青空が登場したことで、今までの離れた生活をしていても空が繋がっている、つまり同じ空の下で生きているんだと実感するところから来ているのかなと思った。
ある事件をきっかけに、追われるように家族が分散し、数々の苦難を乗り越えて再会するまでの話だが、周囲の人に助けられ、母と子が一生懸命生きる姿は健気さとドキドキ感があった。また、父親がいる時はそのような考えはあまり意識してなかったのに「背負うものがある者は強い」と砂場の安波さんの言葉の通り「子を守らなければならない」という母親としての使命にめざめ、強くなっていく母がいた。子供はそれを見て年齢以上にしっかりしてくる。
困った時に父に電話で相談した。「子供だから何もできないかもしれないけど、子供だからこそ、助けを求めていいんだ。時には人に助けを求めるのも必要なんだ」とアドバイスをもらう。携帯で連絡し合いつながりを持てたことが、息子の力(ちから)にとっては心強かったようだ。
切れてしまいそうな(離婚)家族のきずなが、子という共通の宝を通し繋がっていられた。あちらこちらで出会った同じくらいの友達や、大人たちから学んだ様々なこと。「離婚しないで」と震えながら母に訴えた東京を出る時の力が、「僕には、父さんか母さんかどちらかは選べないけど離婚してもいいよ。母さんの好きなようにしていい」と母の目を見てしっかりいえるまでに成長した。子供の心理描写がうまいなと思う。
事件の真相が明らかになる目安が付き、北海道で父と再会することができた。子供が主人公なのは、やはりハッピーエンドがいい。