Nicotto Town



南に向かう風

電車の発車に間に合うかどうかのギリギリの時間に退社した

北方にある最寄り駅に向かい全速力で自転車をこぐ
よりによって今日は風が強く自転車をこぐのがよりいっそう大変

冷えた北風を正面に受けながらも足は緩めない
そのつもりであっても次第に足が弱ってきている
足の限界を感じながらもそこにムチを打つ

冬ならではの北風
これを日本の詩人が南に向かう風と表現した
するとたちまち暖かそうな印象に変わる
風が北から南に吹いていることには変わりないのに不思議だ
詩人は言葉の妙を知っている

そんなことを考えていたら駅に着いた
以前はアナウンスが聞こえてから駆け込んだが間に合った
時計を見ると時間前だがまだアナウンスは聞こえていない
自転車置き場を後にしてゆっくりと反対側の改札まで向かう

アナウンスが聞こえたら駆け込むつもりだがもう足が言うことを聞かない
とりあえず歩きながら改札をくぐり、ホームを自分の乗車位置まで歩いている間に電車が入ってきた
ちょうどいいタイミングだったようだ

そのまま電車に乗り込むと車内で息が切れてゼーゼーハーハー





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