Nicotto Town



オミクロンについて今わかっていること


(mirrorです)
オミクロン株のブレイクスルー感染で始まった第6波ですが,それまでに先に海外で蔓延していたため遅かれ早かれと思っていたものの,何かと慌ただしく論文は読んでも記事にする時間がありませんでした.
書こうとしていたことが次々と入れ替わってしまったのですが,ここにきてやっといくつかはっきりした答えらしきものに辿り着いたのでどうにか纏めてしまいます.
ちなみに,私はテレビを見ていないため世間でどのように言われているのかはほどんど知りません.根拠は医学論文などから直接持ってきています.

まずはオミクロン株とはどこから出てきて急速に広まったのか?ですが,結論から書くとどこから出たのかは未だにはっきりわかっていません.とはいえいくつかの可能性は示唆されています.

https://www.science.org/content/article/where-did-weird-omicron-come

↑こちらのページの一番上の図で,グリーンやパープルが見られる部分がいままで私たちを困らせてきたデルタなどの新型コロナウイルスたちです.
そしてとんでもないところから飛び出している赤い部分がオミクロンです.
一目瞭然ですが,違うところから違う進化を辿って今に至っているわけです.

アフリカ南部のどこかで長期間隔離された状態で進化を遂げた変異体である可能性が高いともあります.それは長期間罹患していた患者の体内なのか,或いは初期の発生のように動物からなのか,起源については様々な説があります.

“I think one reason that this virus has done so well is that better binding to ACE2 [its receptor on human cells] helps for both within-host spread and between-host spread.”
(意訳:このウイルスの伝播性の高さと蔓延はACE2受容体へのより良い結合が寄与しているだろう)

…ともありますが,そのわりには何故か肺での感染がうまくいかないようである.
違うところから侵入している可能性…これはおそらく,ずっとこの病気を追ってきた人なら一度は考えることだと思います.
何よりも私は肺での複製ではなく上気道での複製を得意とすることが気になっていました.
というのも新型コロナ感染症はそもそも呼吸器ではなく血管の病気と言っても良いものであったからで,肺でうまく複製できない理由や逆に上気道で増えやすいのは侵入経路が違うからかもしれないということです.
(※ 肺自体は呼吸器ですがこの病気では肺の血管,また全身の血管に問題が起こります)

https://www.nature.com/articles/s41586-022-04474-x

Omicron spike protein was less efficiently cleaved compared to Delta. Replication differences mapped to entry efficiency using spike pseudotyped virus (PV) assays.
The defect for Omicron PV to enter specific cell types(中略)the Omicron spike inefficiently utilises the cellular protease TMPRSS2 that promotes cell entry via plasma membrane fusion, with greater dependency on cell entry via the endocytic pathway. Consistent with suboptimal S1/S2 cleavage and inability to utilise TMPRSS2, syncytium formation by the Omicron spike was markedly impaired compared to the Delta spike.

(意訳:オミクロンはTMPRSS2をうまく利用できないためACE2受容体からの侵入が結果的に不得意となり,しかしエンドサイトーシス経路を介して細胞へと侵入している.)
(※ エンドサイトーシス:細胞が細胞外の物質を取り込むこと)

なんだかすごくすっきりしましたね.
しかしながら,理由はすっきりしたものの,この先に待つものについてはそうではありません.
ここで出てくる[Omicron BA.1]というのは今日本で主に蔓延している株ですが,実は[Omicron BA.2]というものも存在しておりこちらは更に感染力が30%ほど高いオミクロンの仲間です.海外では既にこれに置き換わってきているという報告がいくつもありますから,今後日本も同じ道を辿るでしょう.
1つ幸いかもしれないのは,Omicron BA.2はオミクロンと共通部分が多いため,こちらに入れ替わったとしても第7波にまではならないか,来たとしても軽いものになる可能性が高そうだということです.

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2119682?query=featured_coronavirus

omicron’s estimated relative severity is greater in analyses that account for vaccination status and documented previous infection. This finding is in keeping with the likelihood that a portion of the observed reduction in severity stems from omicron’s greater ability to infect people with preexisting immunity, which protects somewhat against severe disease.

(意訳:オミクロンの重症度低下はワクチン接種による免疫獲得が理由の1つであり…)

omicron was about 75% as likely as delta to cause hospitalization in an unvaccinated person with no history of SARS-CoV-2 infection.
(意訳:ワクチン未接種(または罹患歴なし)の人では入院レベルの重症に至るケースは75%でした.)

最後に,峰先生の"オミクロンまとめ"動画です.

https://youtu.be/JafdHfgjIzs

30分ほどありますが,ただ観るだけで誰でも簡単にオミクロンを理解できてしまう素晴らしい動画です.




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