わたしは誰? ホラーだと思います。
- カテゴリ:自作小説
- 2022/02/26 23:20:41
ある学校の窓際で。
どうでもいい。
授業が終わっても、ホームルームが終わっても、ずっと見つめていた。
どうでもいい。
孝雄はそうつぶやくと、立ち上がり、教室を出ようとした。
すでに教室は自分一人だけのはず。
そこには金髪で青いローブを着た男の子が立っていた。
どういうわけか、眼が無い。
「う、うわ、うわわわわ」と、孝雄はいつの間にか床に尻餅をついている。
ゆっくりと後ろへ下がる。
「ねえ、拒絶するの?」と、金髪の男の子の口角は上がる。
「く来るな」
「世界を拒絶して、自分さえも?ボクと一緒だねぇ」
「来るなって行ってるだろ」
「きひ?ボクは動いていないよ」
「え?」
うそだ。何を言っているんだ、こいつ。オレは後ろへ下がっているのに、お前、オレの目の前にいるじゃんよ
「きひひ。瞬間移動」
「え?」
「いただきます」口角を上げて笑っていた口は大きく開き、孝雄を飲み込んだ。
闘技場の優勝者の前。
「あん、何だてめぇ。武術大会を優勝したトワル様と知って、戦いを挑んでんだろうなぁ」と、オレンジの髪を逆立せている若き剣士は叫ぶ。
「きひひ。さあ」と、金髪で目の無い、青いローブを着た男の子は口角を上げている。
「ぶっ殺す」と、トワルは鞘から剣を抜き放ち、金髪の男の子の首を切断した。
そう、ごろんと。落ちるはずだった。
切断された首は鮮血を吹き出しながら、曲線を描き、トワルの首を後ろから襲い、食べた。首無しのトワルの身体は数歩だけ前へ進み、闘技場の床に倒れるところで、金髪の男の子の口は大きく開き、飲み込んだ。
ひぃ、ふぅ、みぃ。
金髪の目の無い男の子は数を数える。
ボクの名前?何だっけ。
パラパラと白紙の本がめくれる。
ルキフグス。
白紙のページに文字が浮かび上がり、消えた。
そうそう、拒絶の悪魔とか呼ばれていたっけ。
そうそう。きひひ。
うん?数え間違い?してないよ。
今、読んでいる”あなた”を食べるから。
完。
ご理解お願いします。