1600番:さすらいの青春(136)
- カテゴリ:日記
- 2022/05/18 02:24:46
さすらいの青春(136)
—————————【136】———————————————
Nous étions là, stupéfaits. Mon père s'approcha.
Il éclaira la carriole avec sa lampe.
« Il n'y a aucune trace de voyageur, poursuivit
l'homme. Pas même une couverture. La bête est
fatiguée; elle boitille un peu. »
Je m'étais approché jusqu'au premier rang et je
regardais avec les autres cet attelage perdu qui
nous revenait, telle une épave qu' eût ramenée la
haute mer —— la première épave et la dernière,
peut-être, de l'aventure de Meaulnes.
——————————(訳)————————————————
私たちは唖然としたまま、そこにいました. 父は近
寄って行きました.持っていたランプで馬車を照らしま
した.
「乗っていた人の形跡は何もありません」、男は説明を
続けた.
「毛布さえもないんです.馬は疲れいますよ;少し足を
引きずっています.」
私は最前列に躍り出ていた.そして他の人たちと一緒
に私たちのところに戻ってきたその迷子の馬車を眺めてい
た.まるで高潮に打ち上げられたような漂着物だった.
—— それはモーヌの冒険の最初で、そして恐らく最後の
漂流物であった.
-—————————⦅語句》————————————————
stupéfait: (形) 唖然とした、仰天した
<stupéfier (他)唖然とさせる、仰天させる
éclaira: (単純過去) <éclairer [エクレレ] (他) 照らす
carriole: (f) (田舎の)二輪馬車、[口語] ぼろ馬車
voyageur(se): (n) 旅行者、ここでは乗っていた人
poursuivit: (単純過去)
<poursuivre (他) 追跡する、続行する、続ける
ここでは馬車を曳いてきた男が説明を「さらに続けた」.
尚、この小説では、登場人物のセリフカッコの中に、
語り手の言葉が混在します.つまり、誰のセリフかを
いちいち地の文に入れて説明するのは、煩瑣でぎこち
なくなるからでしょう.
couverture: (f) 毛布、掛け布団
boitille:(3単現) <boitiller [ボワティエ] (自) 軽くびっこを引く
rang [rã](m) (横の) 列 [縦の列は file]
Nous étions assis au premier rang. /
我々は最前列に座っていた.
s'approcher (代動) [de に] 近づく
attelage (m) 馬とそれを連結した車の一式、馬車
perdu (形) 迷子の
épave (f) ①漂流物、漂着物、②遺留品
telle une épave que ~:~であるような漂着物
eût (接続法半過去3単) <avoir
eût ramenée (接続法大過去3単)
~を連れ戻したかのような
<ramener 帰らせる、連れ戻す
ただしここではeût ramenéeの後ろ
にあるla haute mer が主語
telle une épave qu' eût ramenée la haute mer
まるで高潮に打ち寄せられたような漂着物