Nicotto Town



ネタばれ読書日記『不条理な殺人』

『不条理な殺人』 著;パット・マガー

評価★4
あらすじ
夫婦とも人気俳優の夫マークは劇作家になった義理の息子ケニーの作品の題名が『ハムレット』を連想させるものだと知り動揺する。17年前、ケニーの実父でマークの親友だったレックスは事故で半身不随になった後、バカンス中に車椅子ごと転落死した。4歳だったケニーは木の上の秘密基地で事故の瞬間を見ていたはずだ。マークは未亡人のサヴァンナと結婚して以来、ペアを組んで演劇で成功している。マークはケニーの内面を探るべく劇への出演を決める。
劇場では義父の希望を知ったケニーが怒るが演出家のウォーレンは劇の成功を確信してケニーを説得する。大物俳優の出演を知った関係者は様々に動揺し、親の七光りを恐れるケニーとマークは小さな衝突を繰り返す。それでも稽古が進む中、マークはケニーを妻の息子ではなく、親友の息子と意識する。不条理劇の意図するものが明らかにされないままでも稽古は順調に進み、出演者に調和が出来上がる。
しかし開演一週間前、バカンスに行ったはずのサヴァンナの登場で事態は一変する。サヴァンナは新人女優のノラの娼婦役を望んだのだ。さすがにウォーレンも拒否し、ついにはマークがサヴァンナが出演するなら自分が降板すると宣言することで終息させる。マークは息子のために初めてサヴァンナに逆らった。
開演前日の夜にマークは疲れ切ったケニーにコテージのベッドを貸し、劇場から車でサヴァンナの泊まるモーテルに向うと前を走る車がサヴァンナのものだと気付く。モーテルで再会し、ケニーがコテージで寝ていることを告げるとひどく動揺するサヴァンナ。彼女はコテージの暖炉のガス栓を開け、夫を殺そうとしたのだ。
危うい所で助かったケニーは夢うつつで母親がマークの名を呼んでコテージに侵入したことを覚えていた。マークは17年前、サヴァンナがレックスを殺したことと今回の殺人未遂がより冷酷で計画的であること、サヴァンナが愛しているのは自分だけだということを責め、決別を宣言する。
初日、動揺を鎮め、役に集中したマークは舞台を成功させる。そんな中、サヴァンナの事故死の一報がもたらされる。ケニーは昨晩のことを思い出し、母親は息子を殺しかけたことを知って罪を告白した。とマークに確かめるように尋ねるとマークはもっと考える時間があればそうだったかもしれないと思い直し、ケニーの考えを肯定するのだった。

感想
17年前の事件で大人だったのが2人、主人公のマークがかなり良い奴、と気付けばすぐに犯人はわかる。ミステリ要素の薄さに何だこれ?悪女に献身的な男の悲恋もの?と思って★を減らしそうになったけど、最後にマークが舞台に立った瞬間、感動しました。オタク表現をすると、ガラスの仮面みたい。マーク自身、サヴァンナの我儘の原因をわかってないように思うけど、要はマークが名優でサヴァンナが平凡な女優だということを世間に知られたくなかったのではないかと推測されました。物語の本番はマーク殺人未遂だったということかな。
外見も性格も仕事も最高な男を夫にしているのにひどい女だと思うけど、サヴァンナの台詞がすごい。『あなたはほかの女の人に恋したことはないんですものね』
作者パット・マガーはロマンス小説も書いた女性作家です。

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2022/05/30 17:28
たしかに不条理な動機ですね
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2022/05/28 12:11
Xの悲劇のクィーンも役者で探偵だったなあと、マークに重ねて読んだ紅っした



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