『塩の街』
- カテゴリ:小説/詩
- 2022/06/28 21:21:07
もし私の小説日記を読んでくれている優しい方がいるならば、今回挙げる小説はお分かりだっただろう。
有川浩さんのデビュー作であり、自衛隊三部作シリーズ1作目の『塩の街』である。
『空の中』は空自、『海の底』は海自。『塩の街』はもちろん陸自をテーマとしている。
しかしながら、あまり「陸上自衛隊」を前面に出した作品ではなかった。主人公である秋庭は空自のパイロットであったし、もはや社会が機能していない作品世界の中では、「自衛隊」であることもそこまで重要ではなかった。司令が身分を偽装しているくらいだったしね。
まぁ、有川さんのデビュー作だし、元々自衛隊作品をシリーズ化しようとして『塩の街』を執筆したのか分からないので、そこはあまり気にしないでおこう。
冒頭で出てくるのは、大きな荷物を背負い、途方もない距離を歩きつづける青年、遼一。てっきり彼が主人公かと思いきや、そうではなく、彼を助けた真奈が主人公だった。
ある日、突如として巨大な塩の結晶が空から降ってきて、東京湾に落下した。その直後、大勢の人が「塩害」、つまり塩と化して死んでいった。
塩の結晶は、その後の展開から実は生き物だと分かるけども、『空の中』や『海の底』ほど生き物を感じなかったな。最後の最後までただの結晶としか捉えられなかった。喋ったり、動いたりするわけでもなかったからかも。
冒頭の遼一や、囚人だったトモヤ。どちらも塩害で死んでしまったけど、どちらにも愛する人がいて。トモヤの方は、「なんだこいつ!」って最初は思っていたけど、最期は泣けたなぁ。『海の底』での圭介然り、「嫌な奴」を最後まで「嫌な奴」のままにしないところがすごく良いし、転換の仕方がめっちゃ上手い。
それから、一番印象に残ったのは真奈と秋庭が「グリーングリーン」を歌ってたとこかな。私も正直知らなかったけど、実は「グリーングリーン」って7番まであって、3番以降は戦争と「パパ」を亡くしたと思わせる歌詞が展開されている。でも、7番では
いつかぼくも子どもと
語りあうだろう
この世に生きるよろこび
そして 悲しみのことを
グリーン グリーン
青空には かすみたなびき
グリーン グリーン
丘の上には ララ
緑がひろがる
と、前向きな歌詞で締め括られている。両親を塩害で亡くした真奈。でも、いつか明るい未来がやってくると励ます秋庭。上手く歌とリンクさせた描写はすごく良かったな。鳥肌立っちゃった。
東京湾に降り立った塩の結晶が生き物で、さらにそいつを「見る」ことで塩害が生じることが判明し、秋庭は結晶を壊すためにF14を使った「任務」を託された。本の小口見た時に1箇所だけ黒くなってて、「ここなんだ?」と思って読む前に開いちゃってたんだけど、夜空と月を背にして飛ぶF14が描かれていた。ちゃんと読み進める中でそのページに行きついたときは、感動したね!すごくカッコいい。
でも、破壊するまでがちょっと駆け足気味に感じたのも否めないかも。もう少し丁寧に秋庭視点が描かれてても面白かったかなぁ。
秋庭と真奈の恋愛模様は「塩の街」だけ読むと「あれ?これだけ?」って感じがして物足りなかったけど、「塩の街、その後」をちゃんと読めばしっかりと補完できました。
いいね、年上との恋愛っつーもんは。つい最近まで9個上の人に片思いしていたけど、紆余曲折あって諦めたよ(´・ω・`)私の家族は母も、姉も年上と結婚したから、私もそうなるのかしら。ってか結婚自体できるのか…?
「愛は地球を救う」
否、
「愛する人を救ったら、ついでに地球まで救っちゃった」
というスタンスが貫かれていたのも、この作品の魅力だったかな。ただ愛する人に死んでほしくない、そばにいて欲しい。真奈と秋庭の大恋愛が、世界中を巻き込んだ。そんなお話でした。





























