Nicotto Town



ぐだぐだ劇場R【8】トルテ学院長

「おや?リコシェじゃないか!」

学院長らしき女性の前に魔女クラスの先生がいた。リコシェは顔をしかめた。
「げっ!エンロ・ハルバル…」
「先生をつけなっていつも言ってるだろ?リコシェ!
それじゃトルテ、あたしはこれで失礼するよ。あとであたしンとこへおいで!『暴走魔女』さん」
ハルバルはトルテ学院長に一礼するとリコシェに目配せして部屋を後にした。

「あの、お母さん…」
「ティルト、リコシェ、セリカ。あなたたちの武器を私の机の上に出しなさい!」
ティルトの言葉を遮るようにトルテ学院長は言い放つ。
トルテ学院長の机にヒビの入った杖、風乗りのホウキ、星飾りのステッキが並ぶ。
「まずは、リコシェのホウキから見てみましょうか…」
目が見えないのかホウキを少し手探りして掴んだ。ホウキが仄かに光り出す。
「よく使いこんでいるわね。手入れも怠りなく、ホウキが喜んでいるわ」
リコシェはホッと胸をなで下ろしてた。
「次はセリカのステッキ…あら、相変わらずあまり使ってもらえてないようね。
この子(星飾りのステッキ)は今の見た目を変える気はないから諦めなさい」
「ちょ、学院長はん!勘弁してや~」
「最後に、ティルトの杖ね…おめでとう、これで名実共にこの杖はあなたの杖になるわ」
「えっ!?」
怒られると思い、ずっと身をこわばらせ、俯いていたティルトが顔を上げると、
慈愛に満ちた微笑みをたたえた母の顔が見えた。
「高レベルの魔法である転送魔法を何度も使ったのね…私の杖が耐えきれなくなるはずだわ」
「ごめんなさい!お母さんが学生時代に使っていた杖を壊してしまって…」
「いいえ。むしろ、これは喜ばしいことだわ。
杖に入ったこのひび割れは、あなたの杖へと進化する準備が整った証なんだから…」

トルテ学院長はティルトたちを自分の武器工房に案内している。
その移動中にティルトがセルフィやボウ・ヨミーに説明する。
「お母さん…トルテ学院長は目が見えない分、魔力や魂の色なんかが見えてて、
それで学院内のあらゆるものを感知してるの」
「だから、部屋に入る前に誰が来てるのか分かったのね」
「それに、学院の生徒たちに支給される武器は、お母さんが作ってるの」
「盲目の学院長で武器職人…ティルトの母君はすごい方なのだな」

「ティルト。破損した『学院長の杖』を持ったまま、魔法陣の中に入りなさい。
これより、武器進化の儀を執り行います!」
みんなの立ち会いのもと、儀式が始まる…!

ーつづくー




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