1651番:悪童物語(3)
- カテゴリ:日記
- 2022/07/15 05:12:59
悪童物語(トーマ)
Lausbubengeschichten (Ludwig Thoma)
悪童物語(3)
———————————【3】———————————————————
Sie hat immer Handschuhe angehabt, und wenn es
wo naß war auf dem Boden, hat sie huh ! geschrien
und hat ihr Kleid aufgehoben.
———————————(訳)————————————————————
奥様のほうは、いつも手袋をしていて、地面がどこか
ぬかるんでいれば、「あらまあ」と叫んで、服の裾をたく
し上げるのでした.
———————————《語彙》———————————————————
sie:前回のer と同様、初めて出てくるので sie の指すものが不明
なのですが、話の流れからは、「奥様」を言っていることにな
ります.つまり、die Frau.
——質問:いきなり、sie やer を使ってもいいのか?
——答え:いきなりsie やerが出てくる歌謡曲の歌詞はいくら
でもあります.小説だって、そういう書きおこしが
あっても全然おかしくありません.
——質問:先に名前が紹介されて、それからsie だのer だのが
来るのが自然だと思うのですが.
——答え:そうですか.では夏目漱石の『吾輩は猫である』の
主人公には名前がなかったはずですが、どうします?
——質問:どんな出だしですか?
——答え:Ich bin eine Katze. Meinen Name habe ich noch nicht.
——質問:はいはい、人称代名詞が名前に先行する例はもうわ
かりました.OK!ところで、ドイツ語では、職業
には冠詞をつかわないのでは?
——答え:ネコは職業じゃないので!
——質問:でも身分ですよね?
——答え:そんな身分の人間はいません.夏目漱石じゃないけ
ど、「Ich bin eine Katze.」のタイトルの本はたくさん
出ていますよ.
der Handschuh:(e式) 手袋; ein Paar Handschue 一組の手袋
naß:(旧正書法) <nass (形) 濡れた、湿った
der Boden:(変同尾) 土地、地面、床
aufgehoben (過去分詞) <auf/heben (他) (A格を) 持ち上げる