夏
- カテゴリ:小説/詩
- 2022/08/01 17:37:57
暑い夏が来た
でも私の心は冬のまま
凍てついた手を温めてくれるものもなく
そっと吹きかけても温もりはない
あなたがいればよかった
春が来て
華やかな季節がきても
閉じ込めた想いを開けてくれるものもなく
下を向いたままで
石をけとばしながら歩いた
誰がわかってくれよう
私の砕かれた心を
彷徨い歩いても
何一つ見つける術もなく
届かない窓を見つめていた
あなたがここにいればよかった
本当にそうだろうか
もう閉じたままのあなたの胸に
飛び込むことさえ出来ずに
背を向けたままの二人
煌びやかな春が去り
灼熱の夏が来た
都を伸ばせばあなたがいる
そんな日々は胸もう遠い
一人立ち尽くすこの大地
それでも私は歩いていかなければならない
あなたを求めながら
やがてその気持ちが薄れても
歩いていかなければならない
夏の太陽に誓ったこの想いを抱いたままで
そして薔薇に向日葵も・・・
想い出の花々が
呼吸をすることも無く冷たく眠っている
それは心の中で
動くことも無く堆積している
今
私は灼熱の太陽の下を歩く
流れる汗で思い出を一つ一つ溶かしながら
流れる涙で思い出を一つ一つ消し去りながら
秋が来て凍える冬が来る前に
どのぐらい氷は解けるのだろう
閉じ込めれれた花の香りを
思い出と共に逃がしながら
私は歩く
一歩一歩振り返ること無く
汗に濡れ
涙を流しながら