Nicotto Town



【お勧め】ブレードランナー2049

新しく映画を見てしまったので、予告したものの先にそっちのはなしということで。。。

ブレードランナー2049は、言わずと知れたSF映画の金字塔「ブレードランナー」の続編です。
オリジナルのブレードランナーを見ていない方は、出来れば見てからこちらを鑑賞されると良いかと思います。


さて。。。


オリジナルのブレードランナーは、1982年の公開。ちょうど40年前の映画です。
この映画が如何に衝撃的であったのかは、ご存じない方は調べてみてください。エポックメイキングという言葉では足りない、サブカルチャーの歴史を変えてしまった存在の一つであったことだけは確かです。

そんな映画の続編ですから、大方は酷い批判をされて終わるのかと思いきや、けっこう評価は高い。でも私は警戒していて、なんだかんだで今まで見ずにおりましたが、この度、意を決して視聴いたしました。


いや、十分でしょう。


表面的な話からすれば、映像的には間違えなくブレードランナーです。見た目、世界観の話であって、重要なテーマそのものではありませんが、ブレードランナーはどうやってもあの世界観から逃れることは出来ませんので、そこは重要。
そして内容としても、ある意味でブレードランナーが投げっぱなしで終えたテーマを、丁寧に継いでいると思います。見ようによっては、ブレードランナーのテーマをそのままなぞっているだけで、なにも先に話が進んでいないとも言えそうです。そういう批評も目にします。わたしもそれを否定はしません。

ちょこっとネタバレしますが、まさかレプリカントが子供を産むという飛び道具をいきなり出してくるとは思っていませんでした。そこだけ見ると、テーマを飛び道具頼りでつないだだけと言うことも出来ますが、でもその飛び道具のおかげで、単に概念的な「人間とは何か」「私とは誰か」というアイデンティティの話に収斂させず、「自分という確かな存在」に手が届かないことの具体性を自然に持たせる流れを作れていて、話があやふやになることを防げています。

冷静に見ると、実は今回の続編には、人間がほとんど出てきません。主要な登場人物の大半はレプリカントです。
レプリカントは人間ではありませんので、生来的に自分が何者なのかというアイデンティティが欠落しています。ただじゃあ人間ならどうなのかと言えば、そもそも人間が概念でも物事を思考する能力を獲得したときから、人間は自分が何者なのか、なぜ生まれ、存在しているのかという答えを奪われています。裏を返すと、そんな考えなくても生きるに問題のない厄介なことを、社会的に考えさせられてしまう構造にさせられてしまっています。
そういう意味では、人もレプリカントも差分などなく、創造側と被創造側という切り口での立ち位置の違いがあるだけで、等しく迷える子羊です。本作に人間はほとんど出てきませんが、実はもはや誰が人間でレプリカントなのかということはどうでも良くなっていて、ただただ「お前は誰なんだ」という問いだけが漂い続けています。

本作のストーリーに複雑さはありません。
テーマも、ある意味で前作に引き続きありきたりとも言え、それ以上でも以下でもない内容です。
ただ、それをあの退廃的な世界観の中で淡々と語られると、見終わった後になんとも後味の悪いどんよりとしたモヤモヤ感が残る。そういう雰囲気ものの映画とも言えますが、それで良いのだと思います。

結論なんてないからさ、そもそも。
人間とは何かなんていう客観的な問い、自分を俯瞰的に見る視点には、実はほぼ意味なんてない。

「お前は誰なんだ」

常に、自分の目を裏返してそこに見えるもの、というよりは、そこに何を見ようと思うのかを考えることにしか、意味はないということです。人に生来的に生まれて生きる意味なんて存在しませんから。ただ、生まれただけです。意味が欲しければ、自ら作って、自ら納得するしかありません。
自分探しなど無駄です。探してもどこにもそんなものはありません。自分探しなどといってウロウロと彷徨うみっともないその姿そのものが、まさにあなたです、というだけ。

なに言ってるんだか分かりませんという話かと思いますが、まあ映画をご覧いただければと思います。
てなことで。




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