Nicotto Town


ちょこころねの日記


心安らぐ料理~魔王と姫~


前回のお話と対になるお話です。
元々このお話だけを書くつもりが、魔王の料理エピソード
をちょっと書く予定が止まらなくなって前回のお話で一話分、
今回はその続きで、二話分になってしまいました(*^^*)
楽しんでいただけたら嬉しいです♬

魔王城の美味しい料理の秘密を知ったちょこころね姫でしたが、一つだけ気になることがありました。
それは植物好きな彼女だからこそ気が付いたこと・・・
魔王の料理やお菓子にこれまで登場していないハーブがいくつかあることです。
それらには共通点があるという事にも気が付きました。
それはどれもリラックスできる香りのハーブだったのです。

魔王は実際に付き合ってみたら噂ほど悪い性格ではなさそうだけど、壁があるというか周りの人間や存在を寄せ付けないような雰囲気があるのよね。
城の周りの森が迷いの森なんて呼ばれるようになったのも、
魔王のこの性格が影響してるんじゃないかしら?

魔法やお料理にも植物は使うし、森に来るくらいだから植物自体は嫌いじゃない筈だけど、
そのわりに一定のハーブを使わないという事は、リラックスするとか優しい感じのするものが苦手なのかな。
ハーブもそういう類のものは使っていないみたいだからきっとそれも影響ありそうね。

そこで姫は魔王に役立ちそうだと思ったので、
ある料理を作ることにしました。
今日は私が料理をしたいからとフェネックに伝えて、
キッチンで料理を始めました。
下処理でちょっとした工夫をして、じっくりと時間をかけてお肉を焼き上げました。

食堂へ持って行くと魔王が大人しそうにちょこんと席に座っています。
(いつもとは逆だわね。大人しい魔王なんてなんだか面白い(*^^*))
「お待たせ~。お城のレシピだけど味付けは私がちょっと工夫したの。二人とも食べてみてね。」と料理をテーブルに置きました。
フェネックは「美味しそうですね~✨」と料理を見つめています。
魔王もお肉を一口、
「うむ、ソースがしっかりした味付けになっていて・・・。
食べたことが無い香りもするが美味しいな。」と言いました。

「大丈夫だった?それ実はラベンダーの粉を少し入れて焼いてあるのよ。あなたの料理ではあまり使わないハーブみたいだから苦手かもと思ったけど。」と姫が言うと、

「ああ、ソースの味であまり分からなかったし、こういう使い方もあるんだな。こういう感じなら食べやすくていい。」と魔王。

「ラベンダーは私も好きなハーブなの。お料理にも使えるし、リラックス効果も高くて万能だから、あなたも好きになってくれたらいいなって思って。
リラックスのハーブを使えたら魔法を使う時にも便利だと思うし、どうかなって考えて今日はお肉料理で使ってみたの。」と姫は今回の目的を正直に話しました。

「ラベンダーの香りはどうも気が緩み過ぎる気がして、あまり使うことが無かったんだ。料理にも使えるなら悪くないな。少し使うようにしてみるか。」とその日から魔王はラベンダーを身近に置くようになり、次の日にのお茶の時間には早速ラベンダーティーを用意していたのでした(#^^#)

急にラベンダーやリラックスできるハーブに親しむようになった魔王でしたが、姫が好きなハーブを使っていなかったことがちょっと悔しかったのかな(´艸`*)

一週間ほどすると魔王は以前よりも、少し穏やかな表情をしたり、彼の纏う雰囲気が柔らかくなってきたような感じがしてきました。なんだかんだでお城で一人と使い魔たちがちょっといるくらいですから、気を張って過ごしていたのかもしれないですね。

近頃は、お茶の時間も美味しいお菓子と好きなハーブでリラックスしながら魔王とおしゃべりして・・・
そんな時間が楽しく感じられるようになってきた姫でしたが、
一方でそろそろここから離れる時がやってくる予感が強くなって来ていました

魔王城の中で魔王にあまり逆らわずに過ごしているかのように見える姫ですが、
毎晩お友達にもらったイルカのネックレスを握りしめながら、
城に向けて様々なメッセージを送っていました。

彼女は魔王の様な特別な魔法は使えませんでしたが、
近頃は迷いの森と魔王城の周囲の結界が少し変化してきている気配を感じていましたし、元々迷いの森の中にいても植物や生き物たちと交流できる能力があり、
この国の王族の血を引いているのでこの土地のエネルギーを味方にして、お城へ自分の思念を送る程度の事はできるようです。

最初の頃から抜け出すチャンスが無いかと思ってきましたが、魔王の結界が強力で難しく断念するしかありませんでした。
それに・・・長くこの地に住む魔王について、そして自分をさらうことまでした彼の本心や狙いも知りたかったのです。

やはり救助の計画が大分進んでいるのかしら・・・ここしばらくは、とても近くにリアンやお友達、城の皆の気配も感じられる気がする。

本当はこの間フェネックから聞いた魔王の話も気になるし、
もっときちんと魔王と話をしてからここを離れるべきだと思うけど、何か言ってしまえば救助の準備が進んでいることを勘づかれてしまうかも。そう思うと何もいう事が出来ません。
せめてこの城にいる間は彼の本心や人柄をもっと知ることができますように。
これまで王国では魔王の噂はあまり良いものではなかったので、王国の人間としてこの機会に彼の本質に少しでも触れておこうと思う姫なのでした。

アバター
2022/09/23 00:31
今回も楽しく読ませていただきました。
続きが気になります。!(^^)!
アバター
2022/09/20 23:00
まさかの
姫が魔王を好きになってしまう説・・・ Σ(○д○;)
アバター
2022/09/20 22:44
やっぱり魔王さまがお茶目で可愛い……!
このまま姫と魔王はお別れになっちゃうのかな。それともどんでん返しが!?
先がとても気になります。また続きをお待ちしておりますね^^
アバター
2022/09/20 19:50
料理好きな二人,趣味が合いますね。
やっぱりこのまま別れるのはもったいない。
もっと彼のことをいっぱい知ることができますように




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