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- カテゴリ:小説/詩
- 2022/09/29 21:13:06
物陰に隠れてあなたを見送った
他に見送る人もない
私には何も言わずに別れを告げた
あなたはどこかに行く
ひょっとしてあそこだろうか
列車が動き出す
後を追う事も出来ずにただ立っていた
あなたとは長い付き合いだった
寡黙な人だった
それがよかっのかも知れない
一つ一つ季節を巡り
残ったものはなんだろう
私にはたった一つ
右手に輝くリング
あなたの影はもう映らない
愛していた
でもいえなかった
本当に愛だったのか
愛なら受け止めるはず
でもしなかった
がらんとしたホーム
まだこれから旅立つ人もいる
見送る人
みおくられる人
それぞれが微笑んでいる
もう帰ろう
もうあなたはいない
明日から私一人
どんな日々がまっているのか
時計は何も教えてくれない