タケシの武勇伝…(19)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/10/22 21:08:45
「シンさん。今さら謝られてもどうしようもないよ。だからとにかくそんな格好はしないでくれ。塙さんもやめてください!」
打ちひしがれた思いのタケシは、これが今言える限界の言葉だった。
シンさんと塙さんは顔を見合わせた。さっきまで怒っていたはずのタケシが、急にガッカリした姿に見えたからだ。
「北野くん・・・」
か細い声でシンさんが声をかけたが、タケシは顔を向けようとはしなかった。
「シンさん…俺、帰る!」
いきなり立ち上がったタケシは、こう言い放つと扉へと歩き出した。
今度は逆にシンさんと塙さんが焦った。ここまで話を打ち明けながら、このままタケシを帰してしまっては何にもならないと思ったからだ。
「待ってください北野さん!」
塙さんがタケシの前に立ちはだかった。
しかし、タケシはジロりと一瞥し、さえぎる手を払いのけて力いっぱいに扉を開いた。ガーンという音がして、戻るはずの横開きのドアが開きっぱなしになった・・・
はずれたドアを後にして、タケシは部屋を出るとそのまま早足で来た道を戻っていった。すると今度は、データルームでシンさんを手当した白衣の男たちがタケシの前に立ち塞がった。
「どけよ!」
タケシはこう言って二人の間をすり抜けようとした。だが、男たちはタケシを通すまいと同時にタケシの腕を抱え込もうとした。
「何すんだ、邪魔すんじゃねぇ!」
両腕を抱え込まれたタケシは、一度右腕を引いた後に思いっきり左腕を前に振り出した。すると、左腕にしがみついていた男が通路の壁にまで吹っ飛ばされた。
ドスンという音がして男は頭を抱えてうずくまった。
「北野さん、やめてください!」
駆け寄ってきた塙さんが後ろからタケシを羽交い絞めにした。そして、もう一人の男が今度はタケシの腰にしがみつこうとした。すると、ガスッという音がして、男は後ろにひっくり返った。偶然にもタケシのひざが男の顎に入ったのだ。
「お願いです。やめてください北野さん!」
「うるせー!俺は帰る。帰るんだっ!」
「まだ話は終わってません。どうか話を聞いてください・・・あ、あなたの、貴方の力になれるんです!」
塙さんは必死になってタケシを止めようとしがみついた。すると、立ち上がった男がタケシの腹にいきなりパンチを入れた。
「ぐふっ・・・」
いきなり腹を殴られたタケシは、思わぬ一撃にひざをついて暴れるのをやめた。
「やめろ!手を出すんじゃない!」
「止めるにはコレしかないでしょ!…ったく、手間かけさせやがって」
男は、顎をさすりながらタケシを一瞥すると壁の前で片ひざついている男に手を貸して立たせた。
「所長、真也さんに言ってください。いくらなんでも話も聞かない奴に貴重な実験を受けさせるのはどうかってね…」
腹の痛みに耐えながら、タケシはジロリと男をにらんだ。
「すまなかった北野さん。でも、とにかく私たちの話を聞いてください。お願いですから・・・」
塙さんは、タケシを帰らせないように羽交い絞めのままこう言った・・・
※※つづく※※
イフリートさんの作品はまだ読んでいませんが、小説を書いていらっしゃるというなら無条件でお気に入りさせていただきます。どんなものか楽しみです。
1から読ませてもらいました。
夢を断念したのが少々悲しい気持ちになりました。
現在進行形で俺も学園ものを書いています。読んで感想くれるとうれしいです。←ご無礼。
俺のと趣旨が全く違うので読んでておもしろいです^^
次回に期待です!
す、するどい・・・(どーしよう・・・www)
分かってくださいましたか・・・(嬉)
修哉さんへ・・・
これからです・・・(フフフ)
いつも思うんですけど、早く続きが見た〜い。
タケシ〜反抗するんじゃな〜い。