初めての物理学(4)熱
- カテゴリ:勉強
- 2023/03/17 19:45:38
◎熱運動
物体を構成する原子や分子が不規則に動くことを、熱運動と言う。
コロイド中の粒子が細かく揺れるように動くことを、ブラウン運動と言う。
文献や辞典などでブラウン運動の例として水中で花粉が動くことが挙げられていることがあるが、花粉に比べて水分子は小さすぎるため、実際には花粉は殆ど動かず、顕微鏡を使っても、花粉のブラウン運動は観察できない。
ブラウン運動を発見したロバート・ブラウンは、花粉の観察中に、花粉ではなく破裂した花粉から出た微粒子が細かく動くのを発見したのである。
◎摂氏温度と絶対温度
1気圧における水の融点を0℃、沸点を100℃とする温度の表し方を、摂氏温度と言う。
摂氏温度の単位は、℃(度)である。
摂氏温度と同じ1度の幅をもち、全ての原子や分子の熱運動が止まる絶対零度を0Kとする温度の表し方を、絶対温度と言う。
絶対温度の単位は、K(ケルビン)である。
絶対温度をT[K]、摂氏温度をt[℃]とすると、
T=t+273.15
と表せる。
○様々な温度
絶対零度 水の融点 水の沸点
セルシウス -273.15 0 100
ケルビン 0 273.15 373.15
ファーレンハイト -459.67 32 212
ランキン 0 491.67 671.67
ドリール 559.725 150 0
ニュートン -90.1 0 33
レオミュール -219 0 80
レーマー -136 7.5 60
◎熱量
他の物体に与えた熱の量を、熱量と言う。
熱量の単位は、J(ジュール)である。
摩擦力がした仕事は、熱になる。
◎比熱
物体の温度を1K上げるのに必要な、単位質量(普通1g)あたりの熱量を、比熱と言う。
比熱の単位は、J/(g・K)(ジュール毎グラム毎ケルビン)である。
1gの物体の温度を1K上げるのに必要な熱量を、1J/(g・K)と言う。
物体の質量をm[g]、比熱をc[J/(g・K)]、上がる温度をΔT[K]、熱量をQ[J]とすると、
Q=mcΔT
と表せる。
◎物質の三態
気体
凝縮 蒸発
昇華↑↓昇華 凝結↓↑沸騰
凝固
固体 ← 液体
→
融解
液体が表面から気体になることを蒸発、内部からも気体になることを沸騰と言う。
熱を加えても温度が上がらない時は、状態変化に熱が使われている。
固体が液体になる時に奪う熱を融解熱、液体が気体になる時に奪う熱を蒸発熱と言う。
氷の融解熱は約334J/g、水の蒸発熱は約2257J/gである。
◎熱力学第一法則
気体を構成する原子や分子は乱雑に動いているため、原子や分子も力学的エネルギーをもっていると言える。
熱運動による運動エネルギーと原子間や分子間の力による位置エネルギーの総和を、内部エネルギーと言う。
気体に熱を加えたり、仕事をしたりする時、気体の内部エネルギーが変化した量をΔU[J]、気体に加えた熱量をQ[J]、気体を圧縮する方向を正として、外部が気体にした仕事をW[J]とすると、
ΔU=Q+W
と表せる。
気体の内部エネルギーが変化した量をΔU[J]、気体に加えた熱量をQ[J]、気体が膨張する方向を正として、気体が外部にする仕事をW'[J]とすると、
ΔU=Q-W'
と表せる。
◎熱機関
熱を仕事に変える機関を、熱機関と言う。
熱機関がした仕事をW'[J]、熱機関が受け取った熱をQ₁[J]、熱機関が与えた熱をQ₂[J]とすると、
W'=Q₁-Q₂
と表せる。
熱機関が受け取った熱のうち、仕事に変換されたものの割合を、熱効率と言う。
熱効率をe、熱機関がした仕事をW'[J]、熱機関が受け取った熱をQ₁[J]、熱機関が与えた熱をQ₂[J]とすると、
e=W'/Q₁
=(Q₁-Q₂)/Q₁
と表せる。
◎熱力学第二法則
熱が自然に低温の物体から高温の物体へ移動することはないため、熱平衡になる、つまり、低温の物体と高温の物体の温度が同じになると、熱はそれ以上移動しない。
また、低温の物体と高温の物体が触れ合うと、熱は必ず移動し、熱機関は高温熱源からの熱によって温まるため、熱を全て仕事に変える熱機関は存在しない。
高温の物体から低温の物体に熱が移動して熱平衡になった時、全ての原子や分子が同じ内部エネルギーをもち、同じ速度で熱運動をしているのではなく、高いエネルギーをもち高速で運動しているものもあれば、低いエネルギーをもち低速で運動しているものもある。
この原子や分子がもつエネルギーの高さの変異を、エントロピーと言う。
エントロピーは、常に増大する。
◎熱力学第三法則
絶対零度の物体のエントロピーは、0J/Kである。
最初から絶対零度の物体が存在しない限り、絶対零度の物体は存在しない。