Nicotto Town



くまくま絵日記【4】昼、リリカルフォース

ここは「くまくまベーグル&ドーナツ」。3匹のクマが経営しているベーグル&ドーナツのお店だ。

トリオンの妹「ビリオン」は、王国騎士団のカノンとソナタと一緒に店を出た。
「お兄ちゃんとしては心配ですかぁ?」マリアはトリオンに尋ねた。
「べ、別に…心配なんかしてねーよ」と言いつつ、トリオンは照れくさそうにしている。
「私たちもそろそろ行きましょうか、トリオンさん」
「ああ」
接客担当の黒い小グマのリリに、
「今日はティルトさんたちをよろしくお願いします」と、一言言ってからマリアはトリオンと店を後にした。

昼になり、「くまくまベーグル&ドーナツ」も混雑してきた頃、
店番はバイトのティルトたちに任せて、3匹のクマたちは遅めのブランチを食べていた。
「おっ!今日は『リリカルフォース』が店員さんしてるぞ!」
「『トラブルフォース』の間違いじゃねーの?」
「アンタら、聞こえとるで!誰が『トラベルフォース』やて?」
セリカは魔法学院の男子生徒たちの会話に入り、さらにボケを上乗せした。
「リリカルフォース」は、学院在学時にセリカたちが使っていたチーム名であり、
後輩たちの間では、ある意味で「伝説」となっているのだ。
「マジカルドーナツ、あがったよ!」
リコシェが作ったマジカルドーナツは飛ぶように売れていった。
「マジカルドーナツ」は、食べると少しだけMP(マジックポイント)が回復するドーナツで、
学年末テストの時期になると、テスト勉強のお供として、合格祈願のゲン担ぎとして、
学院の生徒たちがこぞって買っていく。
「朝さぁ~、王国騎士団のカノン様とソナタ様を見かけたんだけど、二人と一緒にいた娘、だ~れ?」
「聖騎士(パラディン)クラスのビリオンちゃんだよ」
「聖騎士クラスってさぁ~、男子ばっかで女子ほとんどいないじゃん」
「ビリオンちゃん、勇気あるよね~。ていうか、両手に花?」
テストのヤマ張りしつつ、お喋りに花を咲かせている魔法騎士クラスの女子二人。
「話変わるんだけどさぁ~、ブラン・ヨーク様が学院に帰って来るって噂聞いた?」
「え?マジで!?あの人、笛の音で女を引っ掛けまくって退学処分になったんじゃないの?」
「トルテ学院長が直々に呼び戻したって話だよ?ほら、吟遊詩人クラスの先生、病欠で今いないじゃん?」
「ああ、なるほど~!でも、それだけなのかなぁ?」
「ヨーク様って、誰か好きな人がいるんじゃなかったっけ?」
「確か、メンドーサ隊にいる看護兵さんだったような…」
テスト勉強そっちのけで彼女たちの会話はまだ続く。

「私たちもマジカルドーナツ食べながらここでよくテスト勉強したよね」
「懐かしいね~」
後輩たちを見て、学院時代に思いを馳せるティルトとチュニスだった。

ーつづくー




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