Nicotto Town



ナナイロ村に里帰り【4】観光と援軍

ビリオンがマリアをナナイロ村の色んな所に案内している間、トリオンは父のマンサクから質問攻めにされた。

(こうなることが分かってたから、ナナイロ村に帰ってくるの嫌だったんだよぉ~)
と、心の中でぼやくトリオン兄貴。

「お花もカラフルなんですねぇ~♪」
「うん、花もナナイロ村の特産品だよ。アロマオイルやドライフラワーのポプリ、花茶もあるよ」
「あ、ホントだ!お店に寄っていってもよろしいですかぁ?」
「よろしいですよ♪」
マリアとビリオンは、すっかり仲良くなっていた。

一方その頃、フツツカ魔法学院では…。
ブランがトルテの武具工房から出てくるのを待っていた二人の女子生徒がいた。
「あ!やっぱり!ブラン・ヨーク様だ!」
「キャーッ!ヨーク様、マジイケメン!マジイケボ!」
「キミたち、学院の生徒さんかい?」
「はーい!魔法騎士クラスの「ミー・リドル」で~す!」
「同じく魔法騎士クラスの「ハー・レム」です!」
(ミーハーコンビ?)と、心の中でつぶやくブラン。
「ミーちゃん、ハーちゃん。折り入って頼みたいことがあるんだけど…」

自分から声掛けしなくても、生徒の方から自然と集まってきた。
これから受け持つであろう吟遊詩人クラスの生徒オンリーチーム「ディ・モールト見目麗しゅう」もいた。
ブランは生徒たちを引き連れて、メンドーサ隊の事務所に向かった。

「あかん。作業が終わる気がせぇへん…。ゴールドピーマンが減るどころかむしろ増えとるんとちゃうか?」
「追加分が~、来ちゃったからね~。今年は~、ゴールドピーマン大豊作なんだって~」
またしても、セリカにトドメを刺すような一言をにこやかに言うチュニス。
「ジーザス!!このままじゃウチら、ゴールドピーマンに殺されてまうで~!!」
ガラスの仮面風の驚愕顔になったセリカがまくしたてるように嘆く。
「やぁ、メンドーサ隊のみんな。
足の踏み場もないくらいにゴールドピーマンがあるけど大丈夫かい?援軍を連れてきたよ」
「ああ!神様、仏様、ブラン・ヨーク様~!!」セリカにはブランが救いの神に見えた。

「タネやワタを取り除いたら、この機械で潰してもいいし、細かく刻んで絞ってもいいから、
とにかく、ゴールドピーマンをジュースにして」
リコシェが在校生の生徒たちに指示を出す。
「ジュースにしたゴールドピーマンを濾すと…」
「わ、すごい!金粉みた~い!」
「ゴールドピーマンの絞りカスは、干して乾かすと金粉になるよ。これは薬の材料や絵の具の顔料になるの」
ティルトの実演に「おおーっ!」「すげぇ!」と在校生の歓声が上がる。
「濾したゴールドピーマンジュースをこの栄養ドリンクの瓶に詰める。
フタをして、ラベルを貼って…「ゴールドピーマンドリンク」の完成や!」
完成したての「ゴールドピーマンドリンク」の瓶を持って得意げにしてみせるセリカ。拍手が巻き起こる。
「ゴールドピーマンドリンクは~、ボトルのマークがついた~、木箱に詰めて~、
フツツカ魔法学院の~、売店まで~、運んで下さい~。
納品したら~、売店のお兄さんから~、商品代を受け取って~、こちらに渡して下さい~。
間違っても~、商品代を使い込んだり~、袖にしちゃいけませんよ~」
「はーい」在校生たちはチュニスにゆったりと釘を刺された。

「あ、あの…ブランさん。学院の生徒さんたちを手伝いによこしてくれてありがとうございます」
ティルトはブランに礼を言い、お辞儀をした。
「フフッ、いいんだよ。これも罪滅ぼしのひとつさ」と、言いながらブランはティルトの頭を撫でる。
「じゃ、僕はこれで失礼するよ」
「どこ行くの?」
「ちょいとヤボ用さ」と言って、ブランはメンドーサ隊の事務所を後にした。

ブランはウェルカム王国城に向かう。城の門番に話を通して、城内に入った。
ブランが城内の長い廊下を歩いていると、
王国騎士団の双子の聖騎士「カノン・シードル」と「ソナタ・シードル」に出くわした。
「き、貴様は…ブラン・ヨーク!?」「何しに来た!?」警戒するカノンとソナタ。

ーつづくー




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