Nicotto Town



シッソナデビュー【1】質素なシッソナ姫

ここは、ウェルカム王国。良いものも悪いものも人間も魔物も分け隔てなくウェルカムじゃ!

「ウェルカムトゥーウェルカムキングダムじゃー!!」ウェルカム王国国王「ヨーコソ」は今日も絶好調だ。
「ところで、ブランよ。例の計画はどこまで進んでおるのかの?」
ブラン・ヨークは、ヨーコソ王に進行状況を報告した。
「デビュー曲やステージ衣装など準備は滞りなく…。ですが、シッソナ姫様が…」

「ええっ!?デビューするのをやめる!?どうして!?シッソナちゃん!
あなた、アイドルデビューしたかったんでしょ!?」まくしたてるヨーコ王妃。
「うん。そりゃあ、お母さまみたいにキラキラの衣装を着て歌うのに憧れていたわ。
『キラッ☆』とかしてみたかったわよ。でも、やっぱり私には向いてないわ。
豪華絢爛より質素倹約の方が私の性に合ってるし…」質素なシッソナ姫。
「王族っていうのは、ゴージャス豪遊豪華絢爛が当たり前になっちゃうものなのに、
シッソナちゃん、あなたと来たら…」本当に変わった子ねとヨーコ王妃は付け加える。
「そんなに毎日お金を湯水のごとく使ってたら、王国はあっという間に財政破綻するわよ」
「シッソナ姉様の言う通りだよ。
国民の血税使って贅沢した挙句、謀反を起こされて処刑台の露と消えるなんてまっぴらごめんだね」
姉のシッソナ姫をフォローする弟のシンプル王子。
「んもう!シンプルちゃんまで…」一体、誰に似たのかしら?と、ぼやくヨーコ王妃。

「…と、いうわけなんです」ブランは事の次第をヨーコソ王に説明した。
「う~む、ここに来てシッソナが心変わりするとはのぅ~。
シッソナに無理強いするのは良くないが、かといって中止するのももったいないのぅ~。
ブラン。お主、シッソナを説得してみてくれんかのぅ?」
「はい、やってみましょう」
「うむ、頼んだぞ」

「はぁ~っ」玉座の間を出て少し歩いたところで、ブランは大きくため息をついた。
ヨーコ王妃のアイドルデビューの時も大変だったのに、今度は娘のシッソナ姫のアイドルデビューか…。
まったく、この国の王族連中ときたら、僕(吟遊詩人)をプロデューサーか何かと勘違いしてないか?
まぁ、フツツカ魔法学院の吟遊詩人クラスの課題としてデビュー曲を作らせたけど…。
それに、僕はシッソナ姫には嫌われてるからなぁ…。あ~あ、どうしたもんかなぁ?
ブランは心の中で盛大にぼやきながら、シッソナ姫の部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
「こんにちは、シッソナ姫」
「げっ!ブラン・ヨーク!!」
シッソナ姫は、ブランを見るなり顔をしかめた。

ーつづくー




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