Nicotto Town



学院大誘惑【2】ブランの新生活

ブラン・ヨークは、同じ鳥人族の「ハーピー族」の男たちにいじめられてた所を看護兵の女の子に助けられた。

ブランは、再び目を覚ます。あの時、自分を介抱してくれた看護兵はいなかった。
「あら、やっとお目覚め?ブラン・ヨークくん」
白を基調としたクラシカルな看護兵服を着た女性が優しく声をかける。
「うん、背中の翼はもう大丈夫そうね。動かしてみて。ほら、痛くないでしょ?」
「…ええ、ありがとうございます」と言って、背中の翼をしまって見えなくするブラン。
「ひとつお聞きしたいのですが、傷の手当をしてくれた看護兵さんはどこに?」
「ああ、あの子はね、あの日だけの非常勤なのよ。ここにあなたを運び込んで献身的に看病していたわ」
私も少し手伝ったのよと保健室の女医「マーガレット・クロフォード・ファージ」は、付け加えた。
「ウフフッ、マリアちゃんったら…セルティック王国にいた頃とちっとも変わってないのね…」
マーガレット・クロフォード・ファージ…通称「マクロ・ファージ先生」は、
「白衣の戦乙女隊」の頃のことを思い出してフッとほほ笑んだ。
「マリア…あの看護兵の名前は「マリア」というのか…」
「そうよ。『マリア・アレックス』っていうの。
あら、いけない!もうこんな時間!?ブランくん!早く行かないと入学式に遅れるわよ!」
「え?」ブランはどうやらフツツカ魔法学院の新入生だと思われているようだ。

ブランは、支給された制服と教科書とその他諸々を大量に持たされた状態で入学式に出席する。
ブランだけでなく新入生全員がそうだ。
教師陣がズラリと横に並ぶ中、学院長らしき女性が、新入生歓迎の挨拶をする。

入学式は滞りなく終わり、次は所属するクラスを決める『武具選定』だ。
武具選定は、トルテ学院長が直接立ち会い、彼女の作った武具が所狭しと並んでいる武具倉庫で行われる。
トルテの武具倉庫に一列に並ばされる緊張した面持ちの新入生たち。

フツツカ魔法学院に入学した者には、もれなくひとつの武具が支給される。
学院を卒業した後も生徒の「相棒」となる一生モノの武具だ。
「武具」はそれぞれ意志を持っており、その者の適性や素質などを見極め、武具の方が、生徒を選ぶ。
元から素質の高い者には、多くの武具が光って取り囲む。その場合は、生徒の方から武具を選ぶ。
「聖剣を選んだあなたは、勇者クラスです」と、トルテ学院長。
「次。ブラン・ヨーク!」「はい」
ブランは、トルテ学院長に名前を呼ばれ、武具倉庫の中に入った途端、ブランの胸にフルートが飛び込んできた!
「海魔女級魔笛『運命の風のフルート』…あなた、ブランがこの学院に運び込まれた時から彼のことを…」
運命の風のフルートは、ブランの腕の中で体中を真っ赤にして発光していた。
「ブラン・ヨーク!あなたは楽器使いクラスになります!」

武具選定が終わると、新入生は学院寮に入る。4人1チームの部屋のどこかに入ることになる。
「あなたが新入生のブラン・ヨークね。私は、ライム・バルナック。あなたと同じ楽器使いクラスで2年生よ」
「よろしく、ライム」ライムと握手をするブラン。
「あたし、アニス・エルフィール。錬金術師クラスの3年生。
身体は男だけど、心はオトメよ~ん!よろしくね~ん、ブランちゃん♡」
「…ウフフ、ボクはネクロ・グレンデル。死霊使い(ネクロマンサー)。3年生。
ところでブラン君。キミはゾンビやホムンクルスやゴーレムに興味ある?ボクは…」
明らかにちょっと引いてるブランをよそにネクロは一方的に話し始めた。
「ああ、気にしないで。ネクロは話し始めると長いから。
これからよろしくね、ブラン」と、紅一点のライム。
こうして、ブラン・ヨークの学院生活が始まった…!

ーつづくー




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