Nicotto Town



学院大誘惑【3】魔笛の誘惑

ブラン・ヨークがフツツカ魔法学院の生徒になって1年が経った。アニスは卒業。ネクロは残留、別チームへ。

マリン・アンドリュースとシャイナ・パッションが新入生としてチームに入ってきた。
チーム名を新しく「ムジークカルテット」にした。
4人とも「楽器使いクラス」だったから。リーダーはブラン・ヨーク。

「何で僕がリーダー?3年生のライムの方が妥当じゃないの?」
「私たちは男1人、女3人のチームだから、男がリーダーの方がカッコがつくでしょ?」と、ライム。
「う、うん…私もそう思う。ブランくん、カッコイイし…」と、言ってはにかむシャイナ。
「あたしもブランがリーダーに1票。ってことで、改めてよろしくね!ブランリーダー♪」と、マリン。
「………」
何だか知らないけど、チームリーダーになっちゃった。ま、いいかと思うブラン・ヨークであった。

ある日の月夜の晩。
ブランを選んだ海魔女級魔笛「運命の風のフルート」がブランに語りかける。
「私を吹いて。そしたら、看護兵のマリアさんにもう一度会えるから…」
看護兵のマリア・アレックス。僕の命の恩人。可愛い白衣の天使。
そういえば、まだお礼を言ってなかった。マリアは学院の生徒じゃないのか?
助けられたあの日から彼女の姿を見ていない。
マリアを知っている保健医のマクロ・ファージ先生もいない。
笛の音で呼べば、マリアは応えてくれるのか?
ブランは「運命の風のフルート」に唇をあて、吹き始める。
運命の風のフルートは、嬉しそうに身体をピンクに染めていた。
(マリア…どこにいるんだ。マリア…もう一度、キミに会いたい…!)
今宵の魔笛の旋律にはブランの想いと月の魔力が込められ、より強力に女性を引き寄せた。
ライム、シャイナ、マリンのチームメイト3人は、すでに笛の音の魔力で虜になっていた。
笛を吹いてるブランのまわりに女という女が集まってきた。
女性教師も例外ではなく、魔女クラス担任「エンロ・ハルバル」も、
勇者クラス担任「アデリー・アデライン」も、
冒険者クラス担任のオバさん教師「クラント・クラリッサ」も、
学院長の「トルテ・ウェイト」までもが笛の音の虜になっていた。
いくら笛を吹いてもマリアが来ない。見つからない。ブランの焦りが笛の音の魔力をわずかに鈍らせた。
ブランは、虜にしたはずのトルテ・ウェイト学院長に取り押さえられた。
これが、ブラン・ヨークが起こした「学院大誘惑事件」である。

ーつづくー




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