Nicotto Town



海魔女の笛吹き【3】後日談と大所帯【終】

「ウチらもあん時、ブランはんの笛の音の虜になってもうて…」いつの間にか、セリカが話に入ってきていた。

「ボクも!ちょうど卒業生の先輩のお別れ会やっててさぁ~」と、ビリオン。
「気がついたら、あたしたちはメンドーサ隊の事務所の前に立っててさ…」リコシェはその時の記憶を辿る。
「今考えると、あの時あの場所にいたこと自体、何か運命的なものを感じるよね」と、ティルト。
「本当に~、そうだよね~」チュニスがコクコクと頷く。
「卒業したばかりで就職難だったティルトさんたちがメンドーサ隊に入ってきてくれたおかげで、
メンドーサ隊は解体されずに済んだんですぅ~」
手を合わせて嬉しそうに解説するマリア。
「あの時は『規定人数に達してない組織は解体する』と、王国のお触れが出ていたからな」
マリアの拙い説明を補足するトリオン隊長。
「つまりあの時、ブランさんがフルートを吹いていなければ、今のメンドーサ隊はなかったんですよねぇ~。
ブランさん、ありがとうございますぅ~!あなたはメンドーサ隊の恩人ですぅ~!」
マリアはブランの手を取り、ニッコリ微笑んだ。

「ムジーククインテット」の同窓会が終わったと思ったら、
今度は「リリカルフォース」との学院女子トークが始まってしまった。
そこにビリオンも加わり、さらにかしましいことになった。「女揃えば何とやら…」である。
ブランとトリオン隊長。男二人は蚊帳の外だ。
「おい、ブラン。お前、何であそこで思いとどまったんだ?」
「あの時、キスしようとする寸前にマリアに言われたんだ。
『笛の音で虜にして、いくら心を奪っても、本当の愛は得られない』って。
そのマリアの言葉で僕は目が覚めたのさ」
「あの~、トリオンさん、ブランさん。夕食の用意するの手伝っていただけますかぁ?
みなさん、話が盛り上がっちゃって、話題が尽きないって感じなので…」
頭に三角巾、フリフリのエプロン姿のマリアがトリオンとブランを促す。

結局、話は朝まで続き、ライムたちはメンドーサ隊事務所で一夜を明かすことになった。
後日、「リリカルフォース」の面々と意気投合した勢いで、ライムたちはメンドーサ隊に入隊する。

トリオン、マリア、水牛のスイ&ギュー、ティルト、チュニス、セリカ、リコシェ、
ビリオン、ブラン、ライム、マリン、シャイナ、ルルカ。
男2人、女10人、メスの小さな水牛2匹…メンドーサ隊はすっかり大所帯になっていた。

「これからメンドーサ隊は、もっと賑やかになりますねぇ~。
これであの「幽霊さん」と交わした約束を守ることができそうですぅ~」
「…そうだな」
マリアの隣でフッと微笑むトリオン隊長であった。

ーおわりー




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