Nicotto Town



幽霊との約束【1】格安物件

ここは、メンドーサ隊の事務所。新たに加入したライム、マリン、シャイナ、ルルカが部屋決めをしていた。

「部屋がいっぱいあるわね。どの部屋にしようかな?」と、ライム。
「どの部屋もすぐに使えるようにしてありますから、どこの部屋を使っても大丈夫ですよぉ~」
マリアがライムたちに付き添って案内している。
「ねぇ、マリアちゃん…ブランくんの部屋はどこかな?」シャイナが顔を赤らめながらマリアに尋ねた。
「ブランさんのお部屋ですかぁ?えっと、確か…」
「シャイナ…アンタねぇ…」マリンはバツが悪そうに額に手を当てる。
「メンドーサ隊は、現在12人と2匹ですよね。
全員で部屋を使っても、まだ空いてる部屋がたくさんあるなんて…まるで、ホテルみたいですね」
冷静に分析するルルカ。
「ルルカさん、ご明察ですぅ~!ここは元々、老舗のグランドホテルだったんですぅ~。
メンドーサ隊はホテルだった所を居抜きで使っているんですぅ~。
昔、メンドーサ隊がまだトリオンさんと私だけだった時…」

看護兵のマリアがトリオンに引き抜かれてメンドーサ隊に入り、ウェルカム王国に来て、まだ間もない頃…。
住む所も決まっておらず、物件を探していた所、マリアは格安の物件を見つけた。
「ああ、ここですか?やめといた方がいいですよ。出るんですよ、幽霊が…」
「おおっ!どんな幽霊さんですかぁ?」
「なんでも、ホテルの制服を着た強面のマッチョな男の幽霊らしいですよ。
最近はポルターガイストじみたことも起きてますし、ケガしたくなかったら近づかない方が無難ですよ?
この格安物件の下見に来た人はもれなく幽霊に化かされるらしくて、
怖くなって売買契約を解約する人が後を絶たないんですよ…」
「鍵、貸して下さい!」マリアは目をキラキラさせながら即答した。
「…あなたも物好きな人ですね。自分から怖い目に遭いたいなんて…」
不動産屋の男は、マリアにいわくつきの格安物件の建物の鍵を渡した。

「で、ここか。例の幽霊が出るっていう格安物件は…」やや緊張した面持ちのトリオン。
「はい、そのせいで長年買い手が付かなかったそうですぅ~。
いくら値段を下げても買い手が付かなくて、そのうち見向きもされなくなったんですぅ~。
その格安値段につられてやってくる人は、ろくでもない人たちばかりだって不動産屋さんがぼやいてましたぁ~」
「ホントにろくでもない人間しか来ないギュー…」誰かがボソッとつぶやいた。
「この人達はどうかな?いつもの手で試してみる?」何者かが誰かに誘いをかける。
「あの~、そんなところで何話してるんですかぁ?」マリアに話しかけられて2匹はビクッとした。
「スイ~!見つかった!」「逃げるギュー!」2匹は逃げ出し、姿を消した。
「あら~、行っちゃいましたぁ~。あの子たち、何者なんでしょうかぁ?」
「とにかく、建物に入ってみようぜ」
こうして、マリアとトリオンの格安物件の探索が始まった。

ーつづくー




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