Nicotto Town



シーナガルド【4】ライラ・ナドレ

リモーネアマナツのマーマレード作りが進み、食堂がリモーネアマナツの柑橘系の匂いで満たされる。

「ブランくんの前の吟遊詩人クラスの先生は、確か「ライラ・ナドレ」先生だよね」
シャイナがリモーネアマナツの皮をむきながら話を切り出す。
「ライラ先生、私たちが学院にいた時から病気がちで授業もほとんどできなくてさ…」と、マリン。
「今はシーナガルドの村の療養所で静養なされているわよ。
ブランを吟遊詩人クラスの先生に推薦したのは、ライラ先生だって学院長が言ってたわ」
ライムは、ライラ先生の病状報告をしに学院長室へ行ったことを思い出していた。

一方、その頃。シーナガルドの村の療養所では…。
「ライラさん、お薬の時間やで」
カッツェ・ユリティース看護兵がライラ・ナドレに介添えして薬を飲ませていた。
「ライラさん、今日は調子が良さそうですね」
女医のフリーダ・ローゼがカルテを見ながら検温している。
「あの…フリーダ先生、ブラン・ヨークさんが来ていますが…」
ユミル・ウメシゴト見習い看護兵が遠慮がちに言った。
「ここに通してあげて」フリーダは今日の検診は終わったからと一言添える。
フリーダたちは、ブランを病室に通した後、病室を退出していった。
「よく来たな、ブラン…」
「お久しぶりです、ライラ・ナドレ先生」ブランは恭しく頭を下げた。

ブランがライラ先生の病室に行っている間、マリアは待合室のソファに座っていた。
「あなたも看護兵なのね。私はクリスタ・ルー。私も看護兵よ。主に、療養所の受付担当。
私の兄「トロピカ・ルー」は、フツツカ魔法学院の吟遊詩人クラスの生徒でウクレレ使いなの」
「それじゃあ、ブランさんのこと…」
「ええ、兄から話を聞いてるわ。で、マリアさんは、ブラン先生とトリオン隊長のどっちが好きなの?」
「え?」
気がつけば、マリアは、療養所の女性スタッフ全員に囲まれていた。
「ブラン・ヨーク先生を案内してた時、私 ドキドキしちゃった…」顔を赤らめて俯くユミル。
「ま、ブランくんはイケメンやもんなぁ~。うちは、ライラ先生の方が好みやけどな」と、カッツェ。
「ブランさんはともかく、どうしてトリオンさんのことを知ってるんですかぁ?」
「シーナガルドの村の情報網を甘く見ちゃダメよ?」フリーダ女医は、ウィンクしてみせた。
ブランが待合室へ戻ってくるまでの間、マリアはずっと恋バナの質問責めにされっぱなしであった。

ーつづくー




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